(一社)全国居住支援法人協議会(全居協会、共同代表・会長:村木厚子氏)は29日、ビジョンセンター品川(東京都港区)にて、シンポジウム「住宅セーフティネット制度関連法案改正に伴う今後の居住支援法人のありかた」を開催。同協議会会員、関係官庁の関係者等150名超が出席した。
冒頭、同協議会共同代表の三好 修氏((株)三好不動産代表取締役社長)が挨拶。「要配慮者への住宅供給を促進させる鍵は、オーナーに対する賃貸管理事業者の対応にある。入居者の孤独死、家賃滞納といったリスクに対する不安をいかに払拭するか、この役割を果たしていくことが重要となる」と話した。
シンポジウムでは、国土交通省住宅局安心居住推進課長の津曲共和氏が、改正住宅セーフティネット法について説明。オーナーと要配慮者の双方が安心して利用できる市場環境の整備、居住支援法人等が入居中サポートを行なう賃貸住宅の供給促進等について詳解した。また、「厚生労働省と連携し、住まいに関する相談窓口から入居前・入居中・退去時の支援まで、住宅・福祉における総合的・包括的な居住支援体制の整備を推進していく」(津曲氏)と述べた。
厚生労働省社会・援護局生活困窮者自立支援室長の米田隆史は、生活困窮者自立支援法改正を踏まえた今後の対応について紹介。住まいの相談に対応できる体制の整備とともに、「住居確保給付金を拡充し、家賃の低廉な住宅へ転居するための初期費用を補助する」とした。
厚生労働省老健局高齢者支援課長の峰村浩司氏は、「住まい支援」の制度的枠組みが整備されることに伴い、実施要項を見直しすると言及。「自治体に働きかけを行ない、総合的・包括的な住まい支援のさらなる全国展開を図る」と話した。
法務省保健局更生保護振興課長の南元英夫氏は、刑務所出所者等に対する居住支援の必要性について説明。それを踏まえ、「厚生保護施設」「自立準備ホーム」といった居住支援策を紹介し、「“息の長い”社会復帰支援の推進に向けた“更生保護に関する地域援助”を実施していく」と述べた。
引き続き、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授の大月敏雄氏をコーディネーターにパネルディスカッションを開催。津曲氏、米田氏、峰村氏、南元氏、奥田知志氏(同協議会共同代表、認定NPO法人抱樸理事長)、三好氏がパネラーとして登壇し、「居住サポート住宅の申請が煩雑になると予想されることから、居住支援法人がサポートする仕組みを構築できないか」「居住支援協議会を増やすには、自治体をその気にさせなくてはならない。担当者を集め研修の場を設けるなど、自治体に対する意識付けが必要」など意見を交わした。
今後のあるべき姿については、「高齢者が賃貸住宅に入居できないという社会を変えていきたい」「居住支援法人や専門家、民間企業などとも連携し、地域共生社会の実現につなげられたら」といった意見が挙がった。