(公社)全国宅地建物取引業協会連合会は1日、10月時点の「不動産価格と不動産取引に関する調査報告書(第35回不動産市況DI調査)」を発表した。
3ヵ月前と比較した現状と、3ヵ月後の見通しについて不動産価格・取引の動向を調査し、指数(DI)化したもの。DIは「横ばい」回答をゼロとして、「大きく上昇」「やや上昇」「やや下落」「大きく下落」のそれぞれの回答比率から、四半期ごとに算出している。調査期間は10月9~25日で、有効回答数は510。
土地価格動向DIは、全国で8.3(前回調査比2.5ポイント上昇)と、15期連続のプラスとなった。地域別では、北海道・東北・甲信越が6.1(同10.6ポイント上昇)、関東が8.9(同0.3ポイント上昇)、中部が10.6(同0.1ポイント上昇)、近畿が11.6(同6.9ポイント上昇)、中国・四国が-7.3(同4.2ポイント低下)、九州・沖縄が13.8(同1.9ポイント上昇)。
3ヵ月後のDI値は、全国では-1.7と予測。北海道・東北・甲信越では-2.3、関東は-3.4、中部は3.8、近畿は0.6、中国・四国は-9.4、九州・沖縄は0.7。
最近の不動産市況の特徴的な動きについて聞くと、「物価上昇により住み替え意欲がなく、資材の高騰で新築も建たない模様。既存住宅市場が人気か」(北海道)、「地価は堅調だが、建材等の仕入れ価格の高騰や人材不足、解体費の高騰など、販売業者・カスタマー共に多重苦となっている。新築戸建て物件の価格が高騰し、購入できる人が減少。新築を諦め、既存住宅取得とリノベーションに流れ始めてきている」(秋田県)、「新築コストの異常な上昇により、一次取得者の新築志向に衰えが見える。既存住宅市場の価格・取引数は横ばいの感があるが、今後はいずれも緩やかに上昇すると推測する」(新潟県)など、物価・資材高騰による不動産取引への影響に関するコメントが目立った。