不動産ニュース / 調査・統計データ

2025/2/17

リースバック事業者拡大。国交省はトラブル防止へ

 国土交通省はこのほど、住宅のリースバックに関する実態調査を行ない、結果を報告した。

 2021年に閣議決定した「住生活基本計画(全国計画)」の中でも既存住宅流通活性化に関する施策として、「健全なリースバックの普及」が位置付けられているほか、22年6月には消費者の理解を促すために「住宅のリースバックに関するガイドブック」を取りまとめるなど、普及を後押ししている。しかし、国民生活センターおよび全国の消費生活センターに寄せられたリースバックに関する相談件数は増加傾向にある。

 そこで同省では、宅地建物取引事業者を対象としたリースバックに関する実態調査を実施。現状把握と課題抽出を行なった。調査は24年12月9日~25年1月21日。業界団体に加入している宅建業者を対象にWebアンケート形式で行なわれ、586社が回答した。

 リースバックに関わる事業への取り組み状況について、「取り組んでいる」という回答は10%、「現在は取り組んでいないが、今後取り組みたい」が25%と、今後の事業者拡大がうかがえる結果となった。このほか、「過去に取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」という回答は4%だった。
 また、リースバックに取り組んでいる事業者に対して、開始してからの期間を聞いたところ、「1年未満」が18%、「1~3年未満」が35%と、リースバック事業をスタートして3年未満という事業者が半数を超えた。「3~5年未満」は18%、「5年以上」は28%だった。

 リースバックに関連する業務のうち買い取りを行なっている事業者に、買取可否の基準を聞くと、物件の所在地や一般取引価格など「市場流通性に影響を与える事項」が59%で最も多くなった。クーリングオフができない旨の説明については「必ず説明している」が56%にとどまり、「説明していない」が22%、「質問された場合には説明している」が22%となった。ただ、契約後に解約の申し出があった場合は、「金銭の支払いがあれば応じる」という事業者が49%、「無条件で応じる」という回答は11%となった。

 賃貸を行なっている事業者に契約ついて複数回答で問うと、「普通建物賃貸借」が71%、「定期建物賃貸借」が48%、「終身建物賃貸借」を利用しているケースはなかった。賃料については、物件の売却金額を踏まえて決めているという回答が43%で最も多くなった。

 リースバックに関する問題について自由回答してもらったところ、「事業者がリースバックのメリットしか伝えず、リスクやデメリットを伝えない」「利用者が契約内容を理解しないまま契約」といった内容だけでなく、「営業時の説明と契約書の内容が異なっている」「強引な勧誘」など、宅建業法や消費者契約法に抵触する回答もあった。

 同省では、リースバックに関する基本的な知識やメリット・デメリットなどの周知を行なうとともに、今後、具体的な契約に際して消費者が留意・確認すべきポイントについて確認できるようなツールを提供していくという。また、国民生活センター等とも連携し、深刻な被害報告が増加しないか、注視していくとした。

記事のキーワード 一覧

この記事の用語

リースバック

不動産を売却し、その買主から当該不動産を賃借する方法。英語のLeaseback。

続きはR.E.wordsへ

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2025年4月号
2025年、不動産市場はどう動く
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2025/3/5

「月刊不動産流通2025年4月号」発売中!

「月刊不動産流通2025年4月号」が好評発売中です。購入はショップサイトから。
特集は、「不動産市場 2025年のキーワード」。今年も、マンション、賃貸住宅、オフィス等、さまざまな分野のアナリストに、市場動向を予測していただきました。今年を占うキーワードも!?ぜひご覧ください。