国土交通省はこのほど、住宅のリースバックに関する実態調査を行ない、結果を報告した。
2021年に閣議決定した「住生活基本計画(全国計画)」の中でも既存住宅流通活性化に関する施策として、「健全なリースバックの普及」が位置付けられているほか、22年6月には消費者の理解を促すために「住宅のリースバックに関するガイドブック」を取りまとめるなど、普及を後押ししている。しかし、国民生活センターおよび全国の消費生活センターに寄せられたリースバックに関する相談件数は増加傾向にある。
そこで同省では、宅地建物取引事業者を対象としたリースバックに関する実態調査を実施。現状把握と課題抽出を行なった。調査は24年12月9日~25年1月21日。業界団体に加入している宅建業者を対象にWebアンケート形式で行なわれ、586社が回答した。
リースバックに関わる事業への取り組み状況について、「取り組んでいる」という回答は10%、「現在は取り組んでいないが、今後取り組みたい」が25%と、今後の事業者拡大がうかがえる結果となった。このほか、「過去に取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」という回答は4%だった。
また、リースバックに取り組んでいる事業者に対して、開始してからの期間を聞いたところ、「1年未満」が18%、「1~3年未満」が35%と、リースバック事業をスタートして3年未満という事業者が半数を超えた。「3~5年未満」は18%、「5年以上」は28%だった。
リースバックに関連する業務のうち買い取りを行なっている事業者に、買取可否の基準を聞くと、物件の所在地や一般取引価格など「市場流通性に影響を与える事項」が59%で最も多くなった。クーリングオフができない旨の説明については「必ず説明している」が56%にとどまり、「説明していない」が22%、「質問された場合には説明している」が22%となった。ただ、契約後に解約の申し出があった場合は、「金銭の支払いがあれば応じる」という事業者が49%、「無条件で応じる」という回答は11%となった。
賃貸を行なっている事業者に契約ついて複数回答で問うと、「普通建物賃貸借」が71%、「定期建物賃貸借」が48%、「終身建物賃貸借」を利用しているケースはなかった。賃料については、物件の売却金額を踏まえて決めているという回答が43%で最も多くなった。
リースバックに関する問題について自由回答してもらったところ、「事業者がリースバックのメリットしか伝えず、リスクやデメリットを伝えない」「利用者が契約内容を理解しないまま契約」といった内容だけでなく、「営業時の説明と契約書の内容が異なっている」「強引な勧誘」など、宅建業法や消費者契約法に抵触する回答もあった。
同省では、リースバックに関する基本的な知識やメリット・デメリットなどの周知を行なうとともに、今後、具体的な契約に際して消費者が留意・確認すべきポイントについて確認できるようなツールを提供していくという。また、国民生活センター等とも連携し、深刻な被害報告が増加しないか、注視していくとした。