全国エリアマネジメントネットワーク(会長:小林重敬氏)は6日、東京・有楽町のよみうりホール(東京都千代田区)で、「エリアマネジメントシンポジウム2017 in Tokyo」を開催した。同団体は、全国のエリマネ団体の交流や研究を目的として昨夏発足。発足から約1年間の成果の共有などを目的に今回のシンポジウムを開いた。
シンポジウムのテーマは「エリアマネジメントの新たな活動と財源を考える」。エリマネ団体が活動を継続するための財源取得について講演等を通じて議論した。
講演では、インターナショナル・ダウンタウン・アソシエーションのデービッド・T・ダウニー氏が登壇し、米国における中心市街地の活性化や官民が連携した継続的な財源確保について、サンタモニカやデトロイトといった都市におけるエリアマネジメントの実例を交えながら語った。
また、大阪市都市計画局局長の川田 均氏が「大都市戦略としてのエリアマネジメント」と題して同市のエリマネ展開について紹介。同市では、都市再生特別措置法における都市再生推進法人の枠組みを活用した“大阪版BID制度”を14年に条例化した。BIDとは、行政が事業者などから一度資金を集め、民間のまちづくり団体に対してまちづくりのための資金として公布し、継続的なまちづくりを支援する制度。日本ではまだ検討段階にある。団体への分担金で施設の維持保全や美化清掃、防犯対策等を進めている。「オープンカフェの実施など、団体の自主財源で賄っている部分も多い。団体の税制優遇など、課題は多い」(川田氏)という。
その後、同ネットワーク副会長で法政大学現代福祉学部・人間社会研究科教授の保井美樹氏をコーディネーターとして、全国のエリマネ団体の代表らを招いてディスカッションを実施。各団体が活動内容や財源確保策について言及。NPO大丸有エリアマネジメント協会事務局長の藤井宏章氏は、一般管理費や各種イベント、広報などについては自主財源で賄えているが、人件費やオフィス賃料については三菱地所(株)からの支援約5,000万円に頼らざるを得ない現状を説明。今後の重要な検討課題とした。ディスカッションに参加したダウニー氏は「日本も北米も、持続可能な資金確保が課題である点が類似している。官民の連携が必要となる」などと話した。
保井氏は最後に、「さまざまな公共空間を、いかに使って資金を得るか。現在は規制によって難しいが、現在国で検討が進んでいるBIDの新制度がさまざまな事業に向けたベースになっていくのでは。エリアマネジメント“産業”の分野を切り開いていくべきではないか」と締め括った。