(一社)不動産証券化協会は9日、17回目となる「機関投資家の不動産投資に関するアンケート調査」の結果を公表した。年金基金(以下「年金」)や生損保、信託銀行、都市銀行等の機関投資家(以下「一般機関投資家」)を対象に、2001年度から毎年実施している。本年度は17年8月25日~10月5日に調査を行ない、年金71件・一般機関投資家61件の合計132件の回答を得た。
実物不動産あるいはいずれかの不動産証券化商品に投資している投資家の比率は、年金では58%(前年度比6ポイント上昇)で、5年連続の増加。年金は昨年度調査で初めて過半数を超え、6割に近づいた。一般機関投資家は92%(同2ポイント低下)と低下したが、9割を超える高水準をキープした。
投資対象別投資状況で、「投資済」と回答した割合は、年金では私募リートが47%(同11ポイント上昇)。国内プライベートファンドが13%(同1ポイント低下)、海外プライベートファンドが12%(同1ポイント低下)、JREITは10%(同4ポイント低下)となった。一般機関投資家では、JREITが67%(同1ポイント上昇)が最多となった。
「不動産投資を行なうために必要なこと」については、年金では「不動産関連情報の標準化」が40.9%で1位。長年にわたって1位・2位だった「不動産評価の信頼性向上」(33.3%)、「ベンチマークとなる不動産投資インデックス」(27.3%)がそれぞれ3位、5位に後退した。一般投資家では、「不動産投資に精通した運用担当者(投資家サイド)」が42.6%で、昨年に引き続き1位となった。
不動産のESG投資について興味の有無を聞いたところ、「ある」と答えた割合は年金が16.7%、一般機関投資家は32.1%にとどまった。「興味がある」理由は、「中期的な運用パフォーマンスが向上すると考えるため」が年金63.6%・一般機関投資家68.8%で双方とも最多。一方で、興味がない理由については「認知が広がっておらず説明責任を果たせない」が年金56.9%・一般機関投資家45.5%、「長期的な運用パフォーマンスが向上しない・悪化する」が年金21.6%・一般機関投資家30.3%となった。