不動産情報サービスのアットホーム(株)は3日、「地場の不動産仲介業における景況感調査(2018年4~6月期)」を発表した。
北海道、宮城県、首都圏(1都3県、東京都は23区と都下)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県14エリアにおいて、前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出。「50」を前年並みとする。アットホームの全国不動産情報ネットワーク加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち5年を超えて不動産仲介業に携わる2万4,423店の経営者層を対象にインターネットで調査した。調査期間は6月8~24日、有効回答数は1,212店。
当期の賃貸仲介の実績DIは、首都圏が47.4(前期比1.7ポイント低下)とやや低下、近畿圏は46.7(同0.1ポイント低下)と横ばいでの推移。両エリアとも4~6月としては過去最高値となった。
首都圏では、東京23区がDI50.5(同1.0ポイント低下)で、わずかに低下したものの前期に続いて50を超えた。近畿圏では、大阪府が調査開始以来最高となる50.0(同2.5ポイント上昇)を記録するなど好調だった。このほか、静岡県では49.1(同6.5ポイント上昇)、北海道は50.0(同3.3ポイント上昇)となった。全体的には、14エリア中10エリアの実績DIが前期を下回ったが、おおむね小幅な低下にとどまった。
18年7~9月期の見通しDIは、首都圏が41.3、近畿圏が44.5といずれも今回の実績DIよりも低くなった。地域別にみると、京都府と福岡県以外では見通しが実績を下回っており、全般的には慎重な見方が広がっている。
回答した不動産店からは、「新婚やカップルは時期に関係なく多い傾向にある。間取りも広い間取りが人気」(埼玉県越谷市)、「5~6月にかけてファミリー層が例年にないほど動いた」(大阪市)などといったポジティブな声がある一方、「中高年の一人暮らしが増えた。希望賃料もかなり低く、初期費用も安くなっている」(東京都町田市)などといったネガティブなコメントも少なからずあった。
売買仲介の実績DIは、首都圏が47.0(同0.1ポイント上昇)、近畿圏が48.5(同0.1ポイント上昇)と横ばいで推移。いずれも4~6月としては調査開始以来最高となった。
首都圏では、全5エリアでDIが40台後半となった。近畿圏では、京都府が56.5(同2.9ポイント上昇)と、5期連続の50超えとなった。その他のエリアでは、福岡県が51.9(同3.5ポイント上昇)で、3期連続の回復傾向となったほか、全エリアで40台以上となるなど、明るさも見えている。
見通しDIは、首都圏が46.0、近畿圏が45.8。賃貸とは対照的に、14エリア中7エリアが上向きで、その大半が首都圏・近畿圏以外のエリア。前期同様、やや楽観的な見方が広がっている。
不動産会社からは、「都心部では高止まりしており、まだ値下がりの傾向にはなっていない。年内はこの傾向が続くのでは」(東京都品川区)、「売却依頼は増えたが、価格が高すぎて購入希望者との差は広がった」(東京都豊島区)、「売価が上がった」(京都市)、「マンション価格高騰から動きが鈍く、郊外志向が増加している」(札幌市)、「インスペクションを気にする方が増えた」(仙台市)などの声が挙がった。