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2019/1/7

「2019年 年頭挨拶」(業界団体等)

 国土交通大臣および住宅・不動産業界団体トップが発表した年頭所感は、以下の通り。(順不同)

国土交通大臣 石井啓一氏
(一社)不動産協会理事長 菰田正信氏
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長 坂本 久氏
(公社)全日本不動産協会理事長 原嶋和利氏
(一社)不動産流通経営協会理事長 榊 真二氏
(一社)全国住宅産業協会会長 神山和郎氏
(独)都市再生機構理事長 中島正弘氏
(一社)マンション管理業協会会長 岡本 潮氏
(公財)日本賃貸住宅管理協会会長 末永照雄氏
(一社)賃貸不動産経営管理士協議会会長 原嶋和利氏
(一社)住宅生産団体連合会会長 阿部俊則氏
(一社)プレハブ建築協会会長 芳井敬一氏
(一社)日本ツーバイフォー建築協会会長 市川俊英氏
(一社)日本木造住宅産業協会会長 市川 晃氏
(一社)日本ビルヂング協会連合会会長 髙木 茂氏
(一社)不動産証券化協会会長 岩沙弘道氏
(公社)日本不動産鑑定士協会連合会会長 熊谷隆治氏

国土交通大臣 石井啓一氏

<一部抜粋>
 平成31年という新しい年を迎え、謹んで新春の御挨拶を申し上げます。

 人口減少・超高齢化社会を迎えた我が国では、働き手の減少を上回る生産性の向上によって潜在的な成長力を高め、新たな需要を掘り起こすことは極めて重要です。そのため、国土交通省のあらゆる分野で進められている「生産性革命」を更に推進し、本年を生産性革命「貫徹の年」と位置づけ、成果として結実させていきます。

 国土交通省では、平成28年から生産性向上につながる先進事例を「生産性革命プロジェクト」として選定し、着実に取組を進めてきました。本年からは、この「生産性革命プロジェクト」を新たなステージに昇華させ、AIやIoT等を活用して安全・快適なまちづくりを進める「スマートシティ」の推進など、新たな取組にもチャレンジしてまいります。

 本年10月1日に消費税率の引上げが予定されていますが、需要変動の平準化、景気変動の安定化のための対策として、住宅ローン減税の控除期間の10年から13年への延長及び一定の性能を満たす住宅を対象にした新たなポイント制度の創設を追加的に行うこととなりました。既に措置することが決定しているすまい給付金の拡充などの対策とあわせて、経済に影響を及ぼすことのないよう、万全を期してまいります。

 既存住宅流通・リフォーム市場の活性化に向けて、中古住宅のマイナスイメージを払拭するため、耐震性があり、インスペクションの結果、構造上の不具合及び雨漏りが認められない等の一定の要件を満たす既存住宅について国が商標登録したロゴマークを事業者団体が広告時に使用することを認める「安心R住宅」制度の取組を進めてまいります。

 空き家対策については、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき個々の地方公共団体による除却・利活用等に対する支援と併せ、地方公共団体等が空き家対策情報の共有化を図るための「全国空き家対策推進協議会」の設置等への支援も行っております。また、小規模の戸建て住宅等を他の用途に変更する場合の規制の合理化など、既存建築ストックの有効活用を進めてまいります。さらに、空き家等の流通・マッチングや再生を図るため、「全国版空き家・空き地バンク」の活用促進や、クラウドファンディング等の手法を用いた空き家等の遊休不動産の再生を促進するため、ガイドラインの作成等を進め、不動産特定共同事業等の不動産証券化の活用を支援します。今後とも、空き家の利活用・流通促進に官民総力戦で取り組んでまいります。

 所有者不明土地問題については、昨年6月に成立した「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」の積極的な活用に向け、ガイドラインの整備や協議会の設置等を通じ、地方公共団体の支援に努めてまいります。また、関係閣僚会議で決定した基本方針に基づき、土地に関する制度の在り方や地籍調査を円滑かつ迅速に進めるための措置について、本年2月をめどに方向性を示した上で、更なる検討を進めてまいります。

(一社)不動産協会理事長 菰田正信氏

 本年は、5月に新天皇が即位されて元号が変わり、まさに新たな時代の幕開けの年となる。我が国の足下の経済は緩やかな回復が続いているが、先行きについては、世界の政治・経済情勢の影響を受けて非常に不透明な状況にある。構造的には人口減少・少子高齢化が進み、10月には消費税率引上げが予定されているが、これを乗り越え、新たな時代にふさわしい持続的で力強い経済成長を実現しなければならない。

 都市に求められる機能も変わってきており、都市の国際競争力を高め、世界中から人材・企業・資金・情報を呼び込むためには、ICTなどの技術革新をスピード感を持って取り込み、劇的に変化する社会や時代のニーズに的確かつ柔軟に対応したまちづくりを行うことが必要である。また、多様なニーズに対応した住宅ストックを形成し、新たな住宅循環の環境整備を促進するためには、既存住宅の活用だけでなく、性能の不十分なストックの更新を図るため、建替え等による新規ストックの創出が重要だ。

 当協会としては、優れた都市づくりや質の高い住宅の供給により、真に豊かさを実感できる社会の実現に貢献していきたい。

(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長 坂本 久氏

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は、初の米朝首脳会談、米中貿易摩擦の激化、英国のEU離脱問題等、国際情勢が目まぐるしい一年でした。国内では、西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震など、自然災害が多発し広域停電や交通インフラの機能不全を引き起こしました。

 このような中、昨年8月、私は会長就任早々、安倍総理と対談する機会を得、既存住宅市場の活性化、空き家・空き地対策などについて懇談しました。中でも、地方圏における譲渡所得に係わる課税の取り扱いなど、地方経済再生に向けた新たな制度の創設について要望いたしました。併せて個人情報保護を踏まえつつ、宅地建物取引士への所有者情報の開示方策も要望した次第です。
 また、地方銀行の不動産仲介業参入については、関係各方面に断固反対との強力な要望活動を行っており、引き続き注視してまいります。

 さて、本年10月より消費税が増税されます。これを踏まえ、31年度の税制改正においては、ローン減税の延長、住宅ポイント、住まい給付金の拡充等、需要の反動減がないよう万全の対策が講じられました。併せて買取再販に係わる不動産取得税の特例措置の延長、空き家3,000万円特別控除の適用要件緩和・期限延長が措置されました。本会としても昨年10月より開始した「安心R住宅制度」等を活用し、既存住宅流通促進策をより一層推進する所存です。

 本年5月、新天皇のご即位と改元が行われ、平成から次の新しい時代を迎えます。国土交通省においても2030年に向けて不動産業が持続的に発展していくための「新・不動産業ビジョン」の策定作業を開始したところです。
 本会としても「ハトマークグループ・ビジョン2020」に基づき、引き続き組織基盤維持、強化を図ると共に、より効率的な事業実施体制の元、「みんなを笑顔にするために」国民の皆様の住生活の向上と安心安全な不動産取引をサポートするため、各種事業を実施してまいる所存です。
 終わりに、皆様のますますのご繁栄とご健勝をお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

(公社)全日本不動産協会理事長 原嶋和利氏

 年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 会員の皆様におかれましては、新たな年を迎えられ、つつがなくお過ごしのこととお慶び申し上げます。
 また、日頃より本会の運営に対し多大なご理解、ご支援をいただいている会員の皆様に心より感謝を申し上げます。

 昨年は各地で豪雨災害や台風被害、地震による被害が発生し、多くの方々が被災されました。
 ここに謹んで、被災された方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。
 自然災害を受けやすい我が国にあっては、国民の安心・安全な生活の実現をはかるためにも官民を挙げて、引き続き、防災対策の強化、国土強靱化を強力に推し進めていかなければならないと強く感じるものであります。

 さて、現在、我が国では、人口減少・少子高齢化社会、経済のグローバル化等、近年の社会情勢の変化や環境に対応すべく、豊かな国民生活の実現に向けて「今後の不動産の在り方」を考える中長期的な不動産業ビジョンの策定が進められており、政府は、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就労機会の拡大や意欲・能力を高める環境をつくるべく、「働き方改革」の実現と新たな経済成長戦略として、特にAIやIoTなどのテクノロジーを活用した社会への転換・進化・発展をめざしております。

 不動産業界においても、技術革新の波は確実に浸透してきており、これまで対面形式で行われてきた宅地建物取引士による重要事項説明についても、賃貸仲介の分野においてはすでにWeb等のシステムを活用した「IT重説」が一昨年10月よりスタートし、今後のビジネススタイルも大きく様変わりしていくことが想定されます。

 一方、喫緊の課題として、拡がりをみせる空き家問題が存在しており、これに対処するためには、やはり住宅ストックの有効活用、流通拡大をはかっていくことが重要であります。
 そのために建物状況調査の実施や安心R住宅の普及促進等を通じて、既存住宅に対する不安感の払拭に努め、流通市場の活性化につなげていくことが大切であり、不動産流通に携わる私たちにあっては、住宅・土地の流通、供給において適正なる情報提供に努めるとともに、地域行政との連携をはかり、安心して暮らせる「街づくり」と「住生活環境づくり」に向けて寄与して参らなければなりません。

 本会では、65有余年の公益団体としての永い歴史の重みを実感しながらも、これからの時代の変化に柔軟に対応していくため、時代を見据えた組織体制の確立を目指し、全国組織の不動産業者団体として、常に会員、国民の皆様に信頼いただけるよう努めて参ります。

 現在、会員の皆様が活き活きとして稼業に専心いただくためのサポートとして、不動産情報システム「ラビーネット」機能の更なる拡充や「全日ステップアップトレーニング」研修内容の充実強化に積極的に取り組むほか、会員支援事業の強化に向けた組織体制の確立に努めるとともに、一昨年来、取り組んでいる全日の今後のあるべき姿を示す「全日中期ビジョン」の策定に向け、特別委員会を立上げ、検討をさらに深めていくこととしております。
 そして、3万社会員の皆様とともに、本会の担うべき役割と価値を高めるべく、更なる組織強化と活性化をはかって参りたいと存じます。

 加えて、消費者保護の徹底と国民の安心安全な住環境に寄与すべく、昨年よりスタートした「全国一斉不動産無料相談会」を広く定着させていくなど、会員支援事業とともに公益目的事業をより積極的に適正かつ確実に進めて参りますので、会員の皆様には、引き続き本会の運営にご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 本年は今上天皇陛下の退位を受けて、5月から改元され、我が国の新たな歴史・時代の幕が開く年であり、日本の繁栄と経済の発展を皆様とともに大いに期待しようではありませんか。
 あらためて本年が会員の皆様にとりまして、よりすばらしい年となりますこととあわせて皆様のご健勝とご発展を祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

(一社)不動産流通経営協会理事長 榊 真二氏

 我が国の景気は、緩やかな回復を続けているがその足取りは重い。先行きについては、雇用・所得環境の改善や政策効果等を背景に回復が持続することが期待されるが、世界経済の下方リスクが高まるなか、楽観できない状況にある。

 昨年の不動産流通市場は、成約件数に伸び悩みが感じられたものの、概ね堅調に推移した。足元でも、既存住宅への需要には根強さが感じられ、本年も、金融緩和や住宅取得に対する税制優遇措置等の政策のもと、底堅さが続くものと思われる。

 国においては、成長戦略のなかで既存住宅流通・リフォーム市場倍増を掲げ、その実現に向けて様々な施策が検討され、昨年は、建物状況調査の斡旋に係る説明制度などの新たな制度が開始された。このような状況下、当協会は本年も引き続き、これらの施策が流通促進に資するよう、その検討段階だけでなく実施後の現場での運用における課題についても、消費者の目線、そして営業現場の視点から、意見具申を行っていく。

 また、消費者のライフスタイルが多様化するなか、ローン減税の面積要件緩和など新たな住宅ニーズに対応する市場活性化策について、引き続き重点課題として提案をしていく。そして、その裏付けとなる調査研究にも注力していきたい。

 既存住宅流通市場の環境が大きく変化する中、当協会は来年5月に創立50周年を迎える。これに当たり、本年はこれからの不動産流通業の目指すべき姿についても考えていきたい。内需の柱である住宅・不動産市場において、益々高まる不動産流通業界への期待に応えるべく、本年も、会員相互の結束のもと、対処すべき課題に鋭意取り組んでいく。

(一社)全国住宅産業協会会長 神山和郎氏

 新年を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。
 昨年は、地震、集中豪雨、台風による大きな自然災害に見舞われ多くの犠牲者と甚大な被害がもたらされました。被災された方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、住宅に関わる事業者として国民の安全・安心を守る使命を再認識しております。
 我が国経済は、緩やかな回復基調が続く一方で賃金の伸びが鈍く、住宅、消費を始めGDPの成長率も力強さを欠いており、特に若年層では景気回復を実感するには至っていない状況です。

 住宅・不動産市場においては、新設住宅着工戸数はここ数年90万戸台で堅調に推移していますが、建築費の上昇や用地価格の高騰もあり住宅価格は長期にわたり高止まりしており、一次取得者層の購入能力から乖離した価格となっております。さらに、本年10月には消費税率10%への引上げが予定されており、住宅購入への影響が懸念されるところです。当協会は、引上げ前後の駆込み・反動減対策を講じるよう重点的に要望活動を行ってまいりましたが、その結果、住宅ローン減税の控除期間の3年延長、エコ住宅、長持ち住宅、耐震住宅、バリアフリー住宅など一定の性能を有する住宅を対象とする次世代住宅ポイント制度の創設などの措置が新たに講じられることとなりました。これらの制度が消費者に十分に理解され、販売現場で混乱なく適切に運用されることが望まれます。

 昨年12月に発表された平成31年度税制改正大綱では、消費税率引上げ対策に加えて、買取再販で扱われる住宅の取得等に係る特例措置の拡充・延長、サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の延長、空き家の発生を抑制するための特例措置の拡充・延長、土地の所有権移転登記等に係る特例措置の延長などが実現しました。これらの措置は住宅取得者の負担軽減を通じて、住宅・不動産市場の活性化に寄与するものであり、特例の延長実現に関係された方々に感謝申し上げます。

 今後は、消費税を含め多くの税が課せられている住宅取得者の負担を今以上に増やさないように検討を行い、恒久的な措置を実現することが最大の課題となります。その際、都心居住の利便性や職住接近を求める若い世代や高齢者世帯に需要があるコンパクトマンションの購入者のために住宅ローン控除などの面積要件を緩和することも重要であると考えます。

 国民の住まい方が多様化し、高齢者世帯や単身者世帯等が増加する中で住宅の広さだけでなく、子育て世代が仕事と家庭生活を両立していける環境を備えた住宅、高齢者が安心して老後を送ることができる住宅を供給していくことが求められています。また、省エネルギー化や耐震化、IoT・AIへの対応なども今後ますます必要となってきます。マンション、戸建、賃貸住宅、注文住宅など多様な住宅の供給、仲介、維持管理などを業とする会員が集っている当協会の力をいかんなく発揮すべき時代だと考えます。

 既存住宅の活用、流通の活性化については、昨年から宅地建物取引業法に基づく建物状況調査(インスペクション)や安心R住宅の制度運用が始まりましたが、これらの動きを着実に進めていくことが必要です。空き家、所有者不明土地についてもより一層の対策を講じていく必要があります。

 現在、全国の分譲マンションストックの総数は644万戸あります。これらのマンションを良好に維持するためには定期的に修繕工事を行う必要がありますが、修繕積立金が十分でないため、一時的に入居者に過度な負担を求めたり、必要な工事が行われない事例が見受けられます。適切な修繕を行いマンションの資産価値を維持するためにも修繕積立金のあり方について居住者の立場に立った検討が必要です。

 また、これらのマンションは年々老朽化が進行します。建築後50年超の分譲マンションは現在の5.3万戸から10年後には72.9万戸、20年後には184.9万戸に増加することが見込まれ、マンションの建替えが現実問題として顕在化してきます。マンションの建替えの促進には、容積率の特例制度(ボーナス)の創設やリバースモーゲージの普及、マンション建替えに係る関係法令の見直しなどが不可欠となりますので、今後、本格的な検討をお願いしたいと思います。

 本年も引き続き全国1,700社を超える会員の英知と熱意を結集し、国民の豊かな住生活の実現と住宅・不動産業の発展を通じ日本経済の発展に寄与してまいりますので、会員並びに関係の皆様方の倍旧のご支援とご協力をお願い申し上げます。
最後になりましたが、皆様方のますますのご発展とご健勝を祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

(独)都市再生機構理事長 中島正弘氏

 明けましておめでとうございます。2019年の新春を迎えるに当たり、一言ご挨拶を申し上げます。
 振り返りますと昨年は、全国各地で地震、豪雨など自然災害が多い年でありました。6月に大阪府北部地震、9月に北海道胆振東部地震が発生し、また、7月の豪雨は西日本をはじめ全国各地に多大な被害をもたらしました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

 今年は、当機構の第三期中期計画(平成26年度~30年度)の最終年度にあたります。
 これまで当機構は、東日本大震災からの復興支援、都市機能の高度化及び居住環境の向上を通じた都市の再生、超高齢社会に備えた地域医療福祉拠点の整備、大規模災害が発生した際の復旧・復興支援等、その政策的役割の実現に努めてまいりました。
 また、当機構発足以来の課題である経営基盤の確立について、繰越欠損金の解消と賃貸住宅事業の収益構造の改善を最優先課題として、賃貸住宅への入居促進や土地等の販売活動による収益の確保等、経営改善計画を着実に実行してまいりました。その結果、繰越欠損金は第三期中期目標期間での解消が見込まれる状況となりました。

 昨年の具体的な事業を申し上げますと、東日本大震災の被災地においては、宮城県石巻市新門脇(しんかどのわき)地区や福島県いわき市豊間地区で宅地引渡しが完了しました。また、災害公営住宅の整備では、平成27年度までに要請を受けた85地区5,833戸が昨年3月末までに全て完成するなど、早期生活再建に向けた支援を着実に行ってまいりました。原子力災害被災地域では、福島県大熊町、双葉町、浪江町から受託した3地区の復興拠点の整備を進めてまいりましたが、11月には双葉町から新たに1地区を受託しました。

 平成28年熊本地震の被災地では、これまで熊本県内の4市町と災害公営住宅の整備に係る基本協定を締結し、事業の進捗に努めてまいりましたが、今月には宇城市(うきし)豊野町(とよのまち)響原(ひびきがはら)地区において、当機構としては初めて災害公営住宅を引き渡すことができる予定です。また、熊本県と「益城(ましき)中央被災市街地復興土地区画整理事業の推進に向けた協定」を締結し、県施行の区画整理事業への職員派遣による技術支援を実施しました。
冒頭申し上げた地震、豪雨災害に際しましては、災害発生直後から被災者の方々へのUR賃貸住宅の提供を実施しました。また、昨年7月の西日本をはじめとした豪雨では、国と被災自治体の架け橋となるリエゾン及び応急仮設住宅建設支援のために延べ15名の職員を派遣、北海道胆振(いぶり)東部地震では、著しい被害が見られた被災宅地の技術的支援のため2名の職員等を派遣しました。

 海外展開支援事業においては、我が国の国際展開戦略の一環として「海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律」(平成30年法律第40号)が昨年8月に施行されたことを受け、海外業務が当機構の本則業務に追加されました。11月には本則業務化後第1号案件として、オーストラリアのニューサウスウェールズ州と都市開発事業での技術協力等に係る覚書を締結したところです。
賃貸住宅事業においては、超高齢社会に対応した多様な世代が生き生きと住み続けられる住まい・まちづくりを推進しており、昨年までに162団地でUR賃貸住宅の地域医療福祉拠点化の取り組みに着手致しました。

 今年の4月からは新たな中期計画期間が始まります。今後も機構の専門性・人材面での強みをいかし、地方公共団体、非営利法人、民間企業等に対する支援や、他の独立行政法人、地方公共団体、民間部門等との協働体制の確立・強化を通じて、より一層皆様の期待に応えられるよう努めてまいる所存です。

 具体的に申し上げますと、東日本大震災の復興支援については引き続き最優先業務として位置づけ、津波被災地域における復興市街地整備事業等について、事業計画に基づき着実に実施してまいります。福島県の原子力災害被災地域においても、着手済の復興拠点整備事業等を着実に実施するとともに、被災地方公共団体からの要請に応じ、国と連携しながら復興まちづくり支援を進めてまいります。また、これらの業務で得たノウハウを活用し、頻発する災害における地方公共団体等からの復旧・復興支援ニーズに対応してまいります。

 都市再生事業においては、民間事業者・地方公共団体等とのパートナーシップの下、都市の国際競争力と魅力を高める都市の再生を推進するとともに、地方都市等におけるコンパクトシティ実現等の地方再生、防災性向上による安全・安心なまちづくりを推進してまいります。

 海外展開支援事業においては、海外の都市開発事業への我が国企業の参入の支援を進めてまいります。具体的には、民間企業だけでの参入が困難な大規模都市開発事業等について、技術・ノウハウの支援のほか、相手国機関等との連携体制構築の支援や専門家派遣等の人的支援を行ってまいります。また、引き続き、タイ、インド等インフラ需要が旺盛なその他の国々との関係構築、案件形成について鋭意進めてまいります。

 賃貸住宅事業においては、引き続き住宅セーフティネットとしての役割を果たしていくとともに、地方公共団体や民間事業者等と連携のうえ人口減少、少子高齢社会といった課題や多様化するライフスタイルへの対応を図り、地域医療福祉拠点化等をより一層推進してまいります。

 今年秋にはラグビーワールドカップが開催され、来年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックの年となります。2025年の大阪での万博開催も決定し、各地で都市開発に向けた動きがより活発になるものと思われます。また、既に高齢者人口の割合は28%を超え、地域における少子高齢化などの課題対応も待ったなしの状況であり、住まいやライフスタイルについての関心がますます高まるものと思われます。
 引き続き地域の政策課題の解決に向け、各自治体や民間事業者等と連携して対応し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
最後に、当機構の業務につきまして、日頃から格別のご理解・ご協力を賜っております関係各位に深く感謝を申し上げるとともに、本年の皆様方の益々のご発展とご健勝を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

(一社)マンション管理業協会会長 岡本 潮氏

 新年おめでとうございます。
 マンションの管理主体である管理組合では、区分所有者の高齢化等による想定以上の収入減少、また建物の高経年化等による想定以上の支出増大により、組合財政の逼迫化が急速に進む一方、役員のなり手不足や人材不足から、健全な組合運営や大規模修繕工事の計画的な実施が非常に難しくなってきています。

 一方、極めて労働集約的な業界であるマンション管理業界においては、少子化の影響による労働力人口減少影響に加え、ここ数年、特に企業の定年延長・再雇用の動きが顕著となり、これまで現場を支えてきた管理員の雇用も年々厳しくなっています。
 迎えた2019年、協会が特に注力する課題は、管理組合財政の健全化、マンション管理会社の経営の安定化、マンション管理がマンションの市場価値へ正しく反映される仕組みづくりです。

 管理組合の財政逼迫化は顕著であり、赤字からの脱却は大前提ですが、良好な居住環境の確保を図る上で、管理経費のコストカットには限界があります。管理組合の原資拡大に向けた増収策を実現していかなくてはなりません。
 良い管理がマンションの市場価値を高めることが認識され、区分所有者がマンション売却時により多くの資金回収ができることになれば、区分所有者の管理に向けた支出のマインドは上がり、管理組合の原資拡大に道が開かれます。そして、これはまた、マンション管理会社の経営の安定化にも繋がることとなります。

 しかし現状は、マンション管理の業務内容や管理の質、適切な維持・修繕の実施やその履歴情報が、居住者・不動産流通の関係者に十分認識されず、流通時において「管理の質」が市場価値に正しく反映されてはいません。このマンション管理の質を外から評価するための仕組みづくりが重要であり、関係団体等とも連携して、この取り組みを進めていきたいと考えます。
 修繕履歴や運営履歴を知悉し、管理組合、また居住者の皆様に寄り添うマンション管理会社にとって、管理組合のマネジメントレベルの向上を図り、管理組合財政の改善に資する様々な形での提言及び具体的な活動を進めることは、大変重要な課題であり大事な役割です。

 しっかりした維持・管理がなされ、居住価値の向上が図られるマンションが、流通市場において価値を認められ、そのようなマンションに住みたいと思われるような社会的機運を醸成していくことを目指した活動を進めていきたいと考えています。

(公財)日本賃貸住宅管理協会会長 末永照雄氏

 当協会は本年も賃貸住宅市場の整備・適正化を目的とし、全国約1,600社の会員と一体となって、賃貸住宅管理の法制化と賃貸不動産経営管理士の国家資格化の実現に向けて全力で取組んで参ります。

 昨年10月に国土交通省が取りまとめた「今後の賃貸住宅管理業のあり方に関する提言」において、昨今、多発している賃貸住宅をめぐるトラブル等の諸問題の解決策として「登録制度の法制化及び管理士の社会的役割の明確化」等が、今後の取組み課題として位置付けられました。

 当協会は国土交通省との連携を強化すると共に、(一社)賃貸不動産経営管理士協議会を構成する業界3団体の足並みを揃え、管理業の法制化と管理士の国家資格化への働き掛けを継続していきます。

 国土交通省の改正住宅セーフティネット法の普及促進にも引き続き取組みます。住宅確保要配慮者が入居できる民間賃貸住宅の登録を増やすため、会員を通じて家主等の啓蒙を図る等して、周知に努めて参ります。

(一社)賃貸不動産経営管理士協議会会長 原嶋和利氏

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 当協議会は、賃貸住宅管理業の適正化、賃貸不動産市場の健全化を目指し、賃貸住宅管理の専門家である賃貸不動産経営管理士の輩出・育成に努めるとともに賃貸不動産経営管理士の国家資格化の実現に向けて全力を尽くします。

 昨年、国土交通省が取りまとめた「今後の賃貸住宅管理業のあり方に関する提言」において、「賃貸不動産経営管理士の社会的役割の明確化」と「賃貸住宅管理業者登録制度の法制化」が課題に挙げられました。

 当協議会は国土交通省と連携し、借主、貸主の安心・安全な住環境の維持向上のため、賃貸不動産経営管理士の社会的必要性を実証し、国家資格化を更に推し進めて参ります。

(一社)住宅生産団体連合会会長 阿部俊則氏

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 緩やかながらも回復基調を継続する国内景気ではありますが、個人消費は未だその勢いを取り戻せず、回復を実感できる状況には至っておりません。内需の柱として広域な関連産業を擁する住宅市場の活性化が、経済の好循環を推進するための重要な役割を果たすものと考えております。

 今日、生活の基盤である住宅はより高度で多様なニーズに応えることが求められています。例えば大規模災害に対応した構造強度に加え、電気やガスが途絶した状況下にあっても生活を維持できるレジリエンス性が注目されています。また、気候変動対策としてZEHなど高度な省エネルギー性を備えた住宅の整備や既存住宅の省エネルギー性の向上が喫緊の課題となっています。

 また、社会構造の変化や多様化する価値観の中で、高齢者の暮らし易さや子育てのし易さ、高齢者や女性の社会参加のし易さなど様々なニーズがあり、住宅業界としても生産技術の一層の向上を図ると同時に、AIやIoTなどの先端技術を積極的に導入しながら、高度化、多様化するニーズに対応して参りたいと考えております。

 一方、全国的に空家の増加が問題となる中、単なる人口減少をもって住宅の新設は抑制して既存住宅の活用法を検討すべきとの意見もあります。しかし、例えば既存住宅のうち現行省エネ基準に適合するものは1割にも満たないなど、その多くが断熱性や耐震性、またはバリアフリー性などにおいて何らかの改修を必要としております。建替えとリフォームが両輪となって長寿命で良質な住宅が整備され、人々が自らのライフサイクルやライフスタイルに合ったものを選んで居住する、そういうストック型社会の整備にも取り組む必要があると考えております。

 前回の消費税率8%への引上げ後は民間住宅投資が大きく落込み、既存住宅ストックの改善が遅れるとともに、景気へも負の影響を及ぼしました。このような経験を踏まえ、当連合会では消費税率10%への再引上げにともなう需要の一層の落込みを防ぎ、平準化を図るための対策として「住宅ローン減税の控除期間の延長」や良質な住宅整備を図るための「ポイント制度の創設」などを要望し、結果としてほぼ要望通りの形で各種対策が実施されることとなりました。

 今後は、こうした消費税対策の内容を正しく伝えることで、いつでも安心して住宅の取得やリフォームがおこなえる市場環境の構築に向けて取り組んでまいります。

(一社)プレハブ建築協会会長 芳井敬一氏

 平成31年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
 本年も当協会の活動に対しまして、格別のご厚情を賜りますよう厚くお願い申し上げます。

 昨年は自然災害が相次いで発生し、各地で多くの被害をもたらしました。お亡くなりになられました方々には謹んで哀悼の意を表し、被害に遭われました方々には心よりお見舞いを申し上げ、被災されました地域の1日も早い復旧、復興が進まれるようお祈り申し上げます。
 西日本を中心とした豪雨におきましては、岡山県、広島県及び愛媛県から、また、北海道胆振東部地震について北海道からの建設要請をうけ、規格建築部会の会員会社が計556戸の応急仮設住宅、144床の福祉仮設住宅を昨年末までに建設し、被災者の方々にご入居
いただく事が出来ました。建設にご尽力いただいた関係の皆様に心よりお礼申し上げます。

 さて、昨今の日本経済は、全般的に緩やかな回復基調を示していますが、一方、米中貿易摩擦など不安定な世界経済の影響が国内経済に与えることも懸念されています。
 住宅着工戸数を見てみますと、昨年後半から持家が若干増加してきているものの、昨年全体では持家、貸家で対前年比マイナスとなっており、厳しい状況が続いています。

 本年は、10月に「消費税10%への引き上げ」が予定されておりますが、昨年末、政府より、住宅ローン減税の適用年数の3年延長や次世代住宅ポイント制度の創設などの対策を決定していただきました。ご尽力いただきました皆様には心より感謝申し上げるとともに、当協会としても、これらの施策を正しくスピーディーにお客様に伝え、消費税引き上げ導入前の駆け込み増や、導入後の反動減の緩和に取り組み住宅業界の需要安定化に寄与できるようにしていきたいと考えております。

 現在、日本の住宅ストックは約6000万戸、そのうち世帯が居住している住宅で耐震性の低い住宅が約900万戸、断熱性の不十分な住宅が約2000万戸と、改善が必要な住宅ストックがまだ多数存在しています。これらの住宅ストックを品質、性能の高い優良な住宅ストックに建替え、あるいはリフォームを行い、安全・安心で快適な住生活を実現していくことが、大切であると思います。当協会会員会社は、時代のニーズを先取りしたトップランナーとして、長期優良住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)をはじめとする品質、性能の優れた住宅を積極的に供給しています。「良質な建物をお客様に引き渡すこと」、「建物がある限りフォローしていくこと」という2つの大切な「約束と使命」を我々プレハブ建築協会が果たしていくために、各種の認定事業、人材育成事業を推進し、関係方面へ働きかけを行うなど、積極的な支援を行ってまいります。

 また、南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの発生が懸念される中、大規模災害に対する備えとして、応急仮設住宅の建設をはじめ、復旧・復興活動が迅速に行えるよう、引き続き、各会員会社との協力体制を準備・構築してまいりたいと思っております。

 本年の干支「己亥(つちのとい)」は、「成熟した組織が足元を固め、次へのステージに向けた準備期間の年」と言われております。本年は「統一地方選挙」、「天皇陛下ご退位」「新天皇陛下のご即位」、「G20」、「参議院選挙」、「消費税10%への引き上げ」、「ラグビーワールドカップ」など、大きな行事、イベントが控えており、さらに2020年の「オリンピック・パラリンピック」、2025年「大阪万博」へと、次のステージへの準備の年の始まりであり、日本がさらにはばたいていく年になりますことを期待しております。

 「すべては準備で決まる。」私はこの言葉を胸に仕事を行っております。「新しい年」を迎えるにあたり、プレハブ建築協会として皆様と共に一歩一歩着実に協会事業を進めてまいりたいと思います。

 今後とも会員の皆様と協力し共に発展していけるよう、微力ではございますが努力してまいりますので引き続きご支援、ご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 最後になりましたが、皆様のご健勝とご多幸を心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

(一社)日本ツーバイフォー建築協会会長 市川俊英氏

 平成31年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

 昨年は日本各地で地震、豪雨、台風等の大きな自然災害が発生し多くの方が被災されました。改めまして被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに一日も早い復興をお祈りいたします。

 本年は消費税率の引上げが予定されています。これに伴う住宅需要の落ち込みが懸念されるため、住宅業界として実効性のある対策について要望してきたところですが、昨年末、政府においては住宅ローン減税の控除期間の3年間の延長、次世代住宅ポイント制度の創設等、思い切った措置を講じられることとされたところであり、ご尽力いただきましたご関係先の皆様に心から御礼申し上げる次第です。今後は、当協会としてもこれらの制度について消費者に十分理解していただき活用されるよう努めてまいる所存です。

 我が国は高齢化が急速に進展しており、豊かな住生活を営むためには良質な住宅ストックを形成して行くことが必要です。ツーバイフォー住宅は、導入されて以来高い性能で消費者の信頼を得てきており、そうした信頼に応えストックの時代にふさわしい住宅・建築として発展させていきたいと考えております。

 昨年、木造建築物の整備推進等を目的として建築基準法が改正され、本年6月までに耐火性能等に係る所要の基準が整備されることとなっております。ツーバイフォー工法は住宅以外の福祉施設や商業施設などの建築物においても、工期面・コスト面のメリットなどにより普及の拡大が進展しておりますが、新しい基準にも迅速に対応することにより、「木の建築」であるツーバイフォー建築のさらなる普及の拡大につなげてまいりたいと存じます。

 日本ツーバイフォー建築協会としては、本年も引続きツーバイフォー住宅・建築の供給を通じて、再生可能な循環資源である木材の利用を推進し、低炭素社会の構築に貢献することも重大な役割として果たしてまいりたいと存じますので、皆様の変わらぬご支援、ご指導をよろしくお願い申し上げます。

■(一社)日本木造住宅産業協会会長 市川 晃氏

 新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、全国各地で甚大な自然災害に見舞われ、災害対策の重要性を改めて実感させられた1年でした。被災地の1日も早い復興へ力添えとなるように取り組んで参ります。

 国内経済は、戦後最長の景気拡大期とされていることもあり、本年も緩やかに成長するものと予想されます。消費者マインドは改善傾向にあるものの、実質所得の伸び悩みもあって実感には乏しさも見られます。

 住宅産業に目を向けると、住宅ローン減税の期間延長を始めとして、今般の消費増税に対して受注の平準化を促す環境が整えられてきているものの、依然として少子高齢化、労働力人口の減少、空き家の増加など課題が山積しております。

 多くの課題に直面するなか、近年住宅ストック整備の機運が高まっています。大規模地震のリスクが叫ばれ、地球温暖化対策への注目も高まる中、リフォームや建て替えにより、良質な住宅ストックを充実させることが急務とされています。

 他方で、既存住宅価値の適正評価などにより、既存住宅の流通市場を活性化させ、国民がライフステージに応じて無理なく安心して住宅を取得できるように、環境を整備することも求められております。

 住宅投資は内需の柱であり社会基盤の要です。消費税率の引き上げにより国民の税負担が高まる中、住宅取得の機会が奪われることはあってはなりません。今回の消費税の増税に対する、多角的な対策の効果に期待すると共に、引き続き多岐多重にわたる住宅税制の抜本的な解消、住宅消費税の恒久的な負担軽減も要望して参ります。

 新国立競技場に代表される大規模木造建築物は、「木の時代」を予感させるものであり、木造建築物にとってフォローの風が吹いています。まさに今、木住協が新たな道を指し示す時だと考えております。日本の人々に「木のある暮らし」を提供することで、社会に貢献することを目指して参りますので、本年もご支援、ご指導をよろしくお願い申し上げます。

(一社)日本ビルヂング協会連合会会長 髙木 茂氏

 新年あけましておめでとうございます。
 昨年は大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号による暴風雨、北海道胆振東部地震など自然災害に見舞われた一年でした。とくに北海道胆振東部地震では全道停電という想定外の事態が発生し、自然災害に対するインフラの脆弱さを改めて思い知らされました。

 今年は昨年の教訓を活かし、自然災害に対する意識や自然災害に伴うインフラ喪失への対応をもう一度見直していこうと考えています。また、今年の10月に消費税率が8%から10%に引き上げられます。前回の消費税率引き上げの際の対応と同じく、協会として会員への的確な情報伝達に努めていきます。

 オフィスビルを巡っては、企業の働き方が大きく変わり、オフィスビルやオフィス空間に対するテナントニーズがより多様化、高度化してきています。こうしたニーズに対応するため、今後も人工知能(AI)やIoTをベースにした新たな技術やシステムに着目し、企業の知的生産性を支えるオフィスビルの進化につなげていかなければなりません。ビル業界を挙げて対応していきます。

 今年はラグビーのワールドカップ、そして来年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。世界各国から多くの人がやってきます。日本の都市は、とくに東京は国際都市として機能をより高め、魅力を増していかなければなりません。そういった観点からわれわれ業界の役割は非常に重要になってきています。
 そうした重要な役割を果たしていくためにも、会員の英知とノウハウを結集しながら、充実した協会活動を展開していきたいと考えています。

(一社)不動産証券化協会会長 岩沙弘道氏

 わが国経済は、緩和的な金融環境の下、設備投資や個人消費が堅調に推移し緩やかな拡大を続けている。景気拡大を後押ししてきた海外経済も、総じてみれば着実な成長を遂げている。一方、経済の行方に大きな影響を与えるグローバルなリスクが多々存在しており、一部では顕在化しつつある。

 わが国がデフレ脱却と持続的な経済成長を実現するためには、外部環境の変化に十分留意しつつ、官民が総力をあげて成長力向上への取り組みを進めていく必要がある。
こうした環境下、2018 年の不動産投資市場は着実な成長を続け、現在、上場・非上場を併せたリート市場の資産規模は21 兆円に迫っている。

 昨年、株式市場が不安定な動きを見せた際もJ リートの投資口価格は比較的安定して推移しており、長期安定的な利回り商品としてのJ リートの特性が浸透しつつある。当協会が主催するJ リートフェアや全国キャラバン等の各種セミナーには過去最多となる個人投資家にご参加いただいており、近年のJ リートに対する関心の高まりを実感している。

 市場の更なる成長に向けた課題にも引き続き取り組んでいく。とりわけ、投資対象の多様化は資産運用の高度化の観点からも重要であり、ヘルスケアや観光等の成長分野の拡大促進、インフラへの投資に関する課題の絞り込みや解決策の検討、地方創生に資する投資の実現、グローバル化推進のための環境整備等、具体的な取り組みを進めていく。また、社会的要請であるSDGsの推進等、新たな課題にも積極的に対応していく。

 当協会では、2020 年度までの3 か年を対象とする第6 期中期事業計画で、わが国の不動産投資市場がオリンピック・パラリンピック後も持続的に成長し、グローバルな投資市場として確固たる地位を築いていくことを目標に掲げている。
 市場の更なる成長を実現し、わが国経済を牽引すべく、使命感を持って諸課題に取り組んでまいりたい。

(公社)日本不動産鑑定士協会連合会会長 熊谷隆治氏

 今年は地価公示制度施行50周年の年です。
 地価公示制度は固定資産税等の土地税制の基盤であり、一般の不動産取引にも様々な影響を及ぼしています。今年の地価公示より評価書の開示も拡大され、そのデータ活用の促進も見込まれます。連合会では、地価公示制度の一層の普及を目的に告知活動等の取組みを行なっていきます。

 所有者不明土地の拡大や管理放棄による環境問題の発生など、土地に係る新たな問題が増加しています。そのための取組みとして、土地基本法の改正の論議も進んでいます。不動産鑑定士は、これらの不動産に係る諸問題に積極的に関与し、土地等の適正な価格形成を通じ国土の持続的発展に寄与する社会的使命を担っています。

 本年も会員一丸となって諸問題の解決に取組んで参ります。

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