(独)住宅金融支援機構が事務局を務めている「マンションの価値向上に資する金融支援の実施協議会」は12日、今年度の取組結果と今後の方向性について公表した。
社会問題化しつつある高経年マンション問題への対応として、マンション管理等関係団体、民間金融機関、行政機関および有識者を参加メンバーに、適切な修繕工事等の実施によるマンションの価値向上を目的とした勉強会を2018年度に設立。同勉強会では、「金融インフラの整備」を主眼に、「適切な修繕工事に対するモチベーションの向上」「管理組合と市場関係者の間の情報の非対称性の解消」「管理組合向け融資への民間金融機関の参入支援」に効果的な取り組みについて検討。マンションストックの課題に対する金融等による取り組みの方向性を示した。
19年度は、取り組みの実施に向けた準備段階に移行することに伴い、同勉強会を発展的に解消。新たに同協議会を設立し、早期の実施に向け準備を進めてきた。
管理組合のガバナンス機能低下への対応については、早期実施項目として「マンション版ライフサイクルシミュレーションツールの作成」を提示。「平均的な大規模修繕工事費用」、「長期修繕計画」等について、管理組合がWeb上で試算できる無料ツールを6月末に公開する。また、「修繕工事の必要性や金融の有用性を訴求する広報活動等」も挙げ、地方公共団体等との連携を中心とした情報発信・相談支援を試行的に開始するとした。
民間金融機関の参入支援に関する取り組みでは、管理組合の責任財産の考え方等の法的論点を整理。信用補完策等の検討も進めていく。
共用部分リフォーム融資の商品性改善に関しては、同機構のマンション共用部分リフォーム融資の融資要件を見直し、21年度のリリースを目指す。併せて、政策の方向性や市場のニーズを踏まえ、制度改善や要件改善に取り組む。
早期に取り組みを実施する項目は実施段階に移行し、継続して検討が必要な事項については実施に向けた議論を行なうため、来年度も同協議会を継続。さらに、「マンション管理等関係団体」「民間金融機関・コンサルタント等」の2つの分科会体制とする。