国土交通省は16日、「水災害対策とまちづくりの連携のあり方」検討会の4回目の会合を開催。これまでの議論をもとにした提言案と「水災害リスクを踏まえた防災まちづくり」のガイドライン骨子案を示した。
提言では、コンパクトシティへの取り組みの中で、近年の災害の発生状況を踏まえ、水災害リスクの低減にも配慮して居住や都市機能の立地を誘導することが極めて大切だとして、治水・防災部局とまちづくり部局とが連携して、まちづくりに活用できる水災害に関するハザード情報の提供、水災害リスクを踏まえた土地利用、水災害リスクに対応した防災・減災対策の実施など、水災害対策と防災の観点も考慮したまちづくりを進めていく必要があるとした。
ガイドラインでは、水災害リスクを踏まえたまちづくりの手法として、「ハザード情報を整理し、まちづくりの検討に必要な多段階のハザード情報等を充実させ、それらの情報をもとに地域のリスク分析・評価を行ない、まちづくり・防災対策を検討する」という一連の流れを示した。
「ハザード」(人命の損失や財産の損害等を引き起こす可能性のある危険な自然現象)、「暴露」(ハザードの影響を受ける地帯に存在し、その影響により損失を被る可能性のある人口、財産等)、「脆弱性」(ハザードによる地域社会、システム、資産の被害の被りやすさ)の三要素で決定される被害規模にハザードの発生確率をかけあわせて地域の水災害リスクを評価。水災害リスクを踏まえたまちづくりの目標を設定。市町村の都市計画に関する基本的な方針(市町村マスタープラン)やその一部である立地適正化計画に位置づける。
治水対策や市街地の防災対策は、実施から効果を発現するまでに時間がかかるため、警戒避難体制の構築など、現にリスクにさらされている地域の安全確保を図るソフト対策も併せ、効果の大きさや対策に要する期間などを踏まえ、優先順位をつけて計画的に取り組む。
同省では、来年3月までにガイドライン骨子を取りまとめる。また、並行して複数のモデル都市を選定。ガイドラインの骨子に基づき、ハザード情報の抽出、リスク評価など水災害対策を踏まえた検討を実施する。