(公社)全国宅地建物取引業協会連合会を母体とする政治団体である全国宅建政治連盟は29日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区)で年次大会を開き、各種報告を行なったほか、審議事項を承認した。また、改選期に当たり、全宅連会長の坂本 久氏が次期会長として現職の瀬川信義氏を再任した。
22年度は、土地住宅税制および政策改善に関する政治活動として、低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置や、土地の売買に係る登録免許税軽減措置の据え置き、既存住宅買取再販に係る不動産取得税の特例措置など、適用期限を迎える各種税制特例措置の延長等を要望していく。また、土地住宅政策については、既存住宅市場の環境整備や賃貸の媒介報酬見直し、異業種の不動産業参入等の在り方についても検討する。
総会で挨拶した瀬川会長は、「この2年間はコロナ禍に翻弄されたが、日本政府はウィズコロナによる経済再生に舵を切った。われわれの生活でも、リモートワークが普及し、国民の働き方や住まい方への意識が変わってきた。全国組織である全政連にとっても経費節減や業務効率化のきっかけとなるなど、われわれを取り巻く環境が大きく変化している。スピード感を持った会の運営を行なっていく」などと話した。
また総会では、同会が兼ねてより検討を進めている銀行の不動産業参入阻止に関し、自民党宅地建物等対策議員連盟会長の山本有二氏が説明。6月1日に同氏が衆議院に提出した「銀行による不動産業務への進出に関する質問主意書」に対して、10日付で岸田文雄内閣総理大臣名の回答を受け取ったことを明らかにした。
銀行が宅地建物取引業を営むことについて新たなリスク発生や過剰融資、優越的地位の濫用などの懸念があると指摘した上で、政府の見解を尋ねたもの。回答では「銀行の健全性の確保や利益相反が生じるおそれ等について十分留意する必要があるため、中長期的な検討を要するものであり、直ちにこれを認めることが困難である」とされた。銀行の保有不動産の賃貸自由化については、「金融庁が定めた指針の範疇にあるかどうかを判断する必要があり、銀行が無制限に当該賃貸に係る業務を行なえるものではなく、『その他の業務に付随する業務』への該当性について判断していく」とされている。
この回答について同氏は「回答は閣議決定が要件となるので、政府全体に効果が及ぶ。(銀行の不動産業進出阻止に向けて)現時点では最善の方法だろう」と話した。与党自民党から政府への質問主意書の提出は、今回が初となる。