不動産業に携わる女性経営者や実務経験者を中心に組織する(一社)不動産女性塾(塾長:北澤商事(株)代表取締役会長・北澤艶子氏)は25日、明治記念館(東京都港区)で34回目となるセミナーを開催した。
北澤塾長は、「今日の講演テーマは“SNS”の使い方。当社は創業して67年、“対面”でお客さまと接することを大切にしており、どんなに技術が進もうと大切なことは変わらないと思っているが、新しい手法にも良さはある。今日のセミナーでは、その良さを学び、情報を社員と共有したいと思う」と挨拶。
セミナーでは、約34万人のSNSフォロワーを抱える不動産会社(株)ないけんぼーいず代表取締役の中島 翔氏が登壇。「不動産におけるSNSの『本当の』使い方」をテーマに、ユーザーの価値観の変化やSNSを運用するにあたり重要なポイントなどを紹介した。
ユーザーの価値観について、同氏は「モノが溢れた今、“モノ消費”、体験を売る“コト消費”を経て、健康維持や環境保全、他者支援など意味を重要視する“イミ消費”へと変化してきている」と言及。それに伴い、ユーザーの問い合わせ方法も、「駅前の不動産会社にとりあえず入る」「聞いたことのある大手に電話する」などから、「SNSで見たことのある人気の不動産会社に問い合わせる」「掲げているビジョンに共感するので問い合わせてみる」といった変化が見られると話した。
そうした中、「ユーザーリテラシーが上がった昨今、既存広告だとユーザーに合わせた発信がしづらいが、SNSは有効」であるとし、ネット上で情報を発信する敷居が下がったため、ユーザー目線のレビューを確認できる「検索ツール」としても有用と言及。DM機能により、投稿に対するリアクションだけでなく、個人間のやり取りができるコミュニケーションツールとして活用することもできるとした。
また、TikTok、Instagram、YouTubeなどのSNSは「それぞれの特性を生かせるよう使い方を分けることが重要」とした上で、「ただし、SNSを運用してすぐに効果は表れない。毎日継続し、どんな投稿の反応が良いのかといった実験を繰り返していくことが必要」と話した。発信する内容については、「自分が発信したいことではなく、ユーザーが求めていることを考えて発信することが大切」とアドバイスした。
「まず発信してユーザーに“Give”すること。そのGiveを重ねて信頼を勝ち取り、その後ようやくご依頼をいただける。ユーザーの考え方や価値観は変化したが、“お客さま第一”ということは不変。SNSの運用では、そのことを忘れてはいけない」と締め括った。