不動産特定共同事業法に基づく不動産クラウドファンディングサービス(以下、不動産CF)を手掛ける事業者を会員とする任意団体「日本不動産クラウドファンディング協会」(JRCA)の設立総会が29日、衆議院第二議員会館で行なわれた。
不動産CFは、空き家や遊休不動産、自治体の保有資産の利活用といった地域課題解決のツールとして期待されており、新規参入事業者も増加。22年度の出資募集額は約604億円(前年度の2.61倍)、案件数も419件(同1.85倍)と市場規模も拡大している。その一方で、事業者の質が担保されていないこと等から、事業者と投資家との間でトラブルも起きている。
そこで同協会では、投資家保護を図るための自主規制ルールを策定するほか、衆議院議員の木原誠二氏などが中心となって12月に発足する不動産CFに係る議員連盟などを通じ、不動産CFを核とした地域課題解決のための政策提言なども行なっていく方針。自主規制ルールについては、投資家保護のための勧誘や広告要件について、国土交通省の申請要件以上の厳格化を目指すほか、事業者の財務内容などの情報開示も進める。また、先行して8月に設立した(一社)不動産クラウドファンディング協会とも、情報交換などの交流を進めていく。
LAETOLI(株)代表取締役の武藤 弥氏と、(株)シーラテクノロジーズ代表取締役会長兼グループ執行役員CEOの杉本宏之氏が共同代表に就任。設立時は、約30社が加盟。「当協会に加盟することが安心できる事業者の証とすることで、今後は不動産CFを手掛けるすべての事業者に加盟してもらいたい」(杉本代表)。
総会で挨拶した武藤代表は「岸田政権が進めている『貯蓄から投資へ』の流れのカギとなるのは、不動産への投資。市場規模も事業者数も増えてはいる反面、責任の重い仕事であり自主規制団体による自浄能力は必要だ」と協会の意義を説明。杉本代表は「公共施設の9割が赤字経営で老朽化も進んでいる。不動産CFを使い、インターネットで資金を集めることで、国民のお金で再生を図ることができる」と抱負を語った。