国土交通省は27日、「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」(座長:中城康彦明海大学不動産学部教授)の6回目の会合を開いた。今回は、既存住宅の改修等部位ラベルの表示の内容や、実務・普及方策について意見が交わされた。
既存住宅において改修等を行なった部位を表示するに当たり、前回の検討会で委員から挙げられた意見を論点として整理。その上で、断熱やエネルギー消費性能といった総合的な省エネ性能を示す「告示ラベル」と、住エネ性能の向上に資する断熱・設備仕様という部分的な情報を示す「改修等部位ラベル」の使い分けに関して国土交通省が方針案を説明した。「告示ラベル」が新築・既存を問わず使用可能であるとした一方、「改修等部位ラベル」に関しては2024年4月以前に新築された住宅においてのみ使用できるとして、同一物件への両ラベルの表示は不可とした。改修時期等についても、改修等部位ラベルに明示することを提案した。
改修等部位ラベルで表示対象となる部位・性能要件については、主たる項目を「窓」「給湯器」とし、省エネ基準を満たしていることを基本とした上で具体的に設定する。窓については、省エネ基準に従った熱還流率に適合するものを表示の対象とし、リビング・ダイニングは必須、その他の居室についても改修している場合はその旨を表示できるようにする。給湯器については、エコフィール・エコジョーズ・ヒートポンプ給湯器(エコキュート)・ハイブリッド給湯器・家庭用燃料電池(エネファーム)の5種類とした。さらに、副次的な表示項目として「外壁等の躯体」「ドア」「節湯水栓・高断熱浴槽」「空調設備」「太陽光発電設備」「太陽熱利用」についても表示できる基準を設定した。
改修等部位ラベルの表示に関する実務については、「販売・賃貸事業者またはそれらから委託を受けた事業者」を実施主体として、住宅の断熱・設備仕様についての現況確認を行ない、その結果を基にラベルを発行し、伝達・表示するというフローを提案。また、確認に当たって第三者評価は必要とせず、表示要件に該当するか否かの早見表のようなものを用意する方針だ。
表示の普及に関しては、25年度からスタート予定の「増改築時の省エネ基準適合義務制度」との連携を提案している。また、不適切な表示関しては、勧告等を行なうことができるようにする。
4~5月にかけてラベルデザインの検討や告示・ガイドラインの改定案を作成し、6~7月にパブリックコメントを実施して、告示・ガイドラインの改定を行なう。その後はラベル発行システムの整備や不動産広告関係事業者との調整を経て、24年10月からの改修等部位ラベルの発行をスタートする計画。