(公社)全国宅地建物取引業協会連合会は5月31日、第一ホテル東京(東京都港区)にて2024年度1回目の理事会を開き、25年度税制改正・土地住宅政策に関する要望書案、労務費の適切な転嫁に向けた自主行動計画案等について議決・承認した。
税制要望では、各種住宅ローン控除の子育て世帯等の住宅の環境性能等に応じた借入限度額上乗せ措置・床面積要件の緩和特例、買取再販に係る不動産取得税の特例措置等といった適用期限を迎える各種税制特例の延長を要望。このほか床面積要件の40平方メートル以上への緩和を登録免許税の特例や不動産取得税の特例にも適用するよう制度見直しを求める。
空き家関連税制については、譲渡を前提として空き家を解体した場合に固定資産税特例措置の適用対象とすることや、空き家バンク登録物件や空き地となった隣地を取得した場合の不動産流通課税にかかる軽減措置創設することを求める。また、所有者不明土地については、発生予防のため相続登記した場合に登録免許税を免除・軽減する特例措置の創設を要望していく。
政策要望では、銀行の不動産仲介業参入・保有不動産の賃貸自由化の阻止を求めるほか、既存住宅流通市場の環境整備として、建物状況調査・既存住宅瑕疵保険・フラット35等で行なわれている各検査等の合理化を要望するのに加え、「安心R住宅」の普及に向けた融資環境整備を求めている。
空き家対策関連では、宅建事業者および宅地建物取引士の業務範囲拡大の一環として、自治体が保有する空き家所有者情報を活用するための仕組みの整備や、不要となった空き地・空き家の寄付を受け入れるための制度整備を要望に盛り込んだ。また、空き家の活用促進に向けて、定期借家制度の使い勝手をより向上させるための制度整備を求めた。
また、23年11月に内閣官房と公正取引委員会の連名で「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」が策定・公表され、不動産取引業・不動産賃貸業・管理業等が「特に対応が必要」とされる業種に指定されたことに加え、国土交通省からも要請があったことから、「自主行動計画」を作成した。
同計画では、「下請け取引の適正化」として、請負金額の決定・適正な請負契約の締結・請負代金の支払いといった3つのポイントで事業者に求められる行動を示したほか、下請け企業を含めた「働き方改革の推進」にも配慮するよう、事業者に求めている。
なお、24年4月1日時点の会員数は全国10万1,034社で、前年末を364社上回った。純増数が最も多かったのは大阪府で213社、次いで東京都137社、福岡64社となった。