6月に開催した定時総会で会長に再選された(公社)全国宅地建物取引業協会連合会の坂本 久氏が5日、記者会見を行ない、空き家対策や全宅連の中期ビジョンの見直し等に取り組んでいくと抱負を述べた。
同氏は会長職4期目。過去3期6年間を振り返り「地銀の仲介業参入阻止や、税制改正要望での『低未利用土地の利活用促進に向けた長期譲渡所得の100万円控除制度』の復活、コロナ禍でのDX対応などが印象に残っている」とした上で、現下の最大の課題として「空き家対策」を挙げた。「国土交通省の『不動産業による空き家対策推進プログラム』には、空き家流通に係る媒介報酬の規定見直しやコンサルティング料を受領できるといった内容が盛り込まれ、全国の宅建業者を空き家流通の担い手として期待していることが感じられた」とし、「全宅連には全国に267ヵ所の無料相談所がある。今後も相談体制の整備や空き家対策の担い手となる人材の育成に取り組んでいきたい。各都道府県宅建協会が空家等管理活用支援法人に指定され、しっかり効果を出せるように全宅連としてもバックアップしていく」などと述べた。
具体的な空き家対策については「空き家所有者を動かすための対策が重要だ。例えば京都市は、26年をめどに非居住住宅の所有者を対象とした『非居住住宅利活用促進税』を導入すると決めた。これも参考に、各都道府県宅建協会が自治体に働き掛けていくことを考えてもいいだろう」と語った。
今後の税制・政策要望については「資材価格の上昇などにより不動産価格が上昇し、これまで購入できた人が購入できなくなっている。特に、これからの時代を担う30代を中心とした若い一次取得者層が購入しやすくなるように、各種住宅ローン控除の子育て世帯等の住宅の環境性能等に応じた借入限度額上乗せ措置・床面積要件の緩和特例などを要望していく」などと語った。
また、25年には、現行の中期計画「ハトマーク・グループビジョン2025」が最終年度を迎えることから、「現行ビジョンの目標達成に向けた進捗状況等を検証しつつ、国土交通省の不動産業ビジョン2030なども踏まえた形で新たなグループビジョンの策定に向けた検討を、25年度中にも開始する」と話した。