大和ハウス工業(株)は10日、商業施設事業に関する計画説明会を開き、同社取締役専務執行役員流通店舗事業本部長の下西佳典氏が説明した。
説明会で下西氏は、商業施設事業を取り巻く環境について、製造業の国内回帰・国産回帰や、半導体関連企業の日本進出など、積極的な設備投資があるほか、コロナ明けの人流拡大を受け、都心再開発やホテルへの設備投資回復が期待できるとする一方、建築工事費の高騰に懸念を示した。国土交通省のデータでは、2015年を100とした非住宅建築の建築費は23年度に124まで上昇。「肌感覚ではもっと上昇している」(下西氏)とし、資材価格や原油価格、労務コストの上昇もしばらく続くと予想した。
24年度の同事業の売上高は1兆2,200億円、営業利益1,440億円を見込んでいる。さらに現在進行中の第7次中期経営計画の最終年度に当たる26年度は売上高1兆2,500億円、営業利益1,600億円を計画。その達成に向け、商業施設やオフィス、ホテルのなどの開発拡大、グループ各社連携による出店戦略の強化を図る。
重点テーマとして「既存商業施設のリブネス事業『BIZ Livness』」「ホテル・オフィスビル開発」などを挙げた。
BIZ Livnessの強化では、開業20年を超えたショッピングセンターの買取再販・建て替え等の獲得を目指し、オーナーへの企画提案を推進。他社開発物件も含むターゲット物件約2,000件に対して提案を進めており、約200件の引き合いを得た。そのうち、条件協議などを経て10件ほどの事業がほぼ確定。床面積1万平方メートル超クラスの大型案件も複数含まれているという。「早々に新築の落ち込みをフォローできる数字は挙げられるだろうし、利益率も良い案件が多く利益面でも期待できる」(同氏)。既存オーナーへのリレーション強化も図る。
ホテル・オフィスビルの開発に関して、「大都市圏のホテル需要はまだまだ出てくるはず、それを取り込んでいく」(同氏)と仕入れを活発化する。特に「大都市からアクセスしやすく」「外国人が注目するエリア」といった立地面を最重要視しつつ、ライフスタイル系ホテルとラグジュアリーホテルを使い分けて供給していく。オフィスビルは需要を見込めるエリアを開拓。数年間ビル供給がないため旧耐震のビルが多いが空室率の低いエリアで、地域に工場などが多く産業集積があるエリアに着目していく。
このほか、公有地の活用を得意とする大和リース(株)や運営する商業施設の空床率が1%を切る大和ハウスリアルティマネジメント(株)など商業系のグループ各社との連携を強化していく。