不動産ポータルサイト各社(アットホーム(株)、(株)リクルート、(株)LIFULL)は28日、省エネ性能を設備や建具ごとに評価する「省エネ部位ラベル」の表示を、11月1日に開始すると発表した。
2024年4月に施行された「建築物の販売・賃貸時のエネルギー消費性能表示制度」に関連した取り組み。住宅・建築物を販売・賃貸する事業者に対して、販売・賃貸の対象となる住宅・建築物の省エネルギー性能を広告等に表示することを努力義務化しており、4月からは主に新築住宅を対象とした「省エネ性能ラベル」の運用をスタートさせている。同制度は、省エネルギー性能を表示する際は、既定のラベルを使用することが必要となる。省エネ性能の診断は第三者の設計士が設計図書を基に行なうこととされている。
10月10日時点における省エネ性能ラベル掲載物件数は、3社平均で賃貸住宅が約4,500件、新築戸建てが約3,000件、新築マンションが10棟となっている。大手建売業者や大手住宅メーカー系のサブリース会社などが、省エネ性能の良さをアピールする目的で積極的にラベルを掲載している。新築マンションは、建築確認申請のタイミングが24年3月以前である場合が多いため、まだ掲載増加には至っていないという。
各社のサイトにおいて反響率が高まっており、アットホームで省エネ性能ラベルが掲載された物件は、非掲載の物件に比べて問い合わせ数が新築戸建てで2倍、新築賃貸では1.6倍となった。リクルートでも、新築戸建てで反響数が約1.6倍となっている。
今回表示を開始する「省エネ部位ラベル」は、24年3月31日以前に建築確認申請を行なった既存住宅のうち、省エネ性能の向上に関わる部位があるが、住宅全体での省エネ性能の把握が困難な住宅の省エネ性能を表示する仕組み。窓・給湯器のほか、省エネ性能の高い外壁や空調設備、太陽光発電などの設置有無を表示することができる。
ラベルの作成は自己評価で、売り主(販売事業者・個人)・貸し主(賃貸事業者・サブリース事業者・個人)が専用サイトに情報を入力するとラベルが生成され、それを販売・賃貸時に表示することができる。仲介会社を介して販売・賃貸する場合はラベルを仲介会社に提供するほか、ラベルの発行を仲介事業者に依頼することも可能。既存住宅の場合でも、設計図書が残っているなど、住宅全体の省エネ性能が把握できる場合には「省エネ性能ラベル」を使用する。
3社が理事会社を務める不動産情報サイト事業者連絡協議会では、省エネ性能ラベル・部位ラベルの普及に向け、ラベルの広告効果の可視化や、制度の地道な周知などを行なっていくという。28日に同協議会が行なった会見で、同協議会監事のリクルートSUUMOリサーチセンター所長・池本洋一氏は「まずは掲載事例を増やしていくことが重要。ある程度掲載物件が増えれば、不動産公取規約に位置付けるように不動産公正取引協議会とも調整していける」などと話した。