(株)三友システムアプレイザルは25日、「三友地価予測指数」(2018年9月調査)を発表した。提携する不動産鑑定士164人を対象にアンケートを実施、結果を分析した。商業地、住宅地の各都道府県主要都市における高度利用地等を前提に、上昇・やや上昇・横ばい・やや下降・下降の5段階で評価された地価動向の各回答者比率に100~0を5段階に分けた係数を乗じてその和を求めた。調査実施期間は8月1~31日。
商業地指数の「現在」(過去6ヵ月の推移)は、東京圏が79.2(18年3月調査比0.8ポイント上昇)、大阪圏が79.2(同1.0ポイント上昇)、名古屋圏が78.9(同2.9ポイント下落)。「先行き」(6ヵ月先の予測)は、東京圏が63.2、大阪圏は65.3、名古屋圏が59.6と、いずれも現在よりも慎重な見方が増えている。
東京圏では、昨年の約2倍の新規供給が予定されているが、既存ビルの2次空室に対するリーシング活動が早まっていて、空室率は落ち着いている。大阪では、18年に竣工する大型ビルは「なんばスカイオ」のみ。関西では訪日外国人観光客の増加率が高く、ホテル等の宿泊施設の建設ラッシュが、オフィスビルの新規供給にも影響を及ぼしている。Aクラスビルはどこも満室状態で、テナント企業間の空室確保競争は激化。再開発事業が一段落した名古屋では、大型ビルの新規供給は予定がなく、最近はリニア中央新幹線工事に伴うテナント企業の立ち退きにより、「名古屋」駅周辺では移転需要が強まっている。
住宅地指数の「現在」は、東京圏67.2(同2.4ポイント下落)、大阪圏66.4(同0.2ポイント上昇)、名古屋圏80.8(同3.5ポイント上昇)となった。「先行き」は、東京圏52.9、大阪圏57.7、名古屋圏61.6といずれも現在よりも慎重な見方が強まっている。
18年は女性専用のシェアハウス業者が経営破綻し、金融機関(主に地方銀行)がアパートローンに対する融資姿勢を硬化。しかし、市場にはすでに大量のアパートが供給されており、今後は賃料や利回り以上に「長期的な空室率」の見極めが重要なポイントになるとしている。