不動産ニュース / 政策・制度

2020/6/12

流通活性化へ、必要な施策を提言

 国土交通省は12日、第51回社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長:中井検裕氏(東京工業大学環境・社会理工学院長))をWeb会議で開催。住生活基本計画の見直しの論点について議論を進めた。

 冒頭の事務局による住生活産業や新技術等、まちづくりを巡る状況についての説明に続き、委員等6人がプレゼンテーションした。

 (公社)全国宅地建物取引業協会連合会副会長の内山俊夫氏は、既存住宅流通促進のための施策に係る提言として、主に安心R住宅について言及。制度の普及促進に取り組んできたものの、実績数が期待したほど伸びていないこと、さらには、安心R住宅を取り扱う会員事業者が今年度減少に転じたことなどを説明。「宅地建物取引実務の流れと商標使用のルールとが合っていないことが要因の一つとして考えられ、規定の見直しなど柔軟な運用が求めれられる。また安心R住宅購入者への税減免などの対策も制度普及には有効と考えられる」などと述べた。

 (一社)不動産流通経営協会住宅流通政策検討委員会委員長の大下克己氏は、若年層からシニア層までコンパクトな住まいニーズが高まっている状況を説明し、住宅ローン減税等の税制上の優遇措置対象となる住宅の面積要件の下限を50平方メートルから40平方メートルへと引き下げることを提言した。

 (公社)全日本不動産協会常務理事の山田達也氏は、空き家、空き地、所有者不明土地の流通促進のためには、所有者情報を宅地建物取引士による請求を認めて開示すべきであると指摘したほか、有効的な官民連携の仕組みの構築、所有権放棄を認めて国庫に帰属させて流通市場にスムーズに流れる仕組みづくりの必要性も提言した。

 プレゼン後の意見交換では、「災害ハザードリスクを低減させるためにも、災害ハザード立地の住宅は優遇措置の対象から外す、流通を促進せずたたむための方策も検討すべき」といった意見や、「住宅のライフサイクルを考えたときに、解体に関する情報が不足していて、空き家をたたみたくても、どの事業者に頼んだらいいか、いくら必要かの情報が著しく欠けている。そうした情報も共有できる仕組み作りが必要」といった意見も挙げられた。

 次回は、26日に開催する予定で、中間とりまとめに向けたたたき台となる案を基に、さらに議論を進める。

この記事の用語

住生活基本計画

住生活の安定の確保及び向上の促進に関する基本的な計画で、全国計画と都道府県計画がある。住生活基本法に基づき、全国計画は政府が、都道府県計画は都道府県が策定する。

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