国土交通省は4日、国土審議会土地政策分科会企画部会(部会長:中井検裕氏(東京工業大学環境・社会理工学院長))の39回目となる会合を開催。土地基本方針に基づく土地政策見直しに当たって、管理不全土地対策に係る自治体の取り組み等についての調査結果や「全国版空き家・空き地バンク」の活用実績、空家等対策特別措置法に基づく国や自治体の取り組みの現状について、情報を共有した。
管理不全土地対策に関する調査は、2019年9~10月、全国1,741自治体を対象に実施。1,029自治体から回答を得た。
回答した自治体のうち、空地の管理や利用促進について取り組んでいる自治体は57.2%(589)と6割弱。その施策は「条例等の制定」(36.1%)、「行政指導」(26.4%)、管理の支援(業者の斡旋、用具貸し出し、助成等)」(18.5%)など。条例が「ある」と回答したのは34.7%。このうち、「行政指導・助言」の規定は76.7%の適用実績があったが「勧告」「代執行」「公表」「罰則」といった項目の適用実績は2割に満たなかった。
代執行を規定していない自治体や、規定しているのに実績がない自治体に理由を聞いたところ、「土地所有者が対応すべき」「法的根拠がない(行政代執行法はあるが空き地への対応に特化した個別法がない)」「対象土地の線引きが困難」が同様に指摘された。調査した自治体からは管理不全土地の取り扱いに係る全国標準のガイドラインの整備を求める声や、空き地については固定資産税課税情報の内部利用ができないため、所有者の把握調査に時間がかかるといった声があがっていた。
「全国版空き家・空き地バンク」の20年12月末現在の参加自治体数は775で、運用開始直後の17年1月から1.8倍に増加。物件掲載件数も約1万1,000件と4.7倍に増えた。20年10月末までに約6,000件がサイトを通じて成約した(自治体アンケート)。一方で、空き家バンクを構築するための費用や人員が不足している事や制度要綱等の策定等の知識がないことなどの負担から未設置の自治体も多い(全国の約3割)ことから、空き家バンクの標準的な制度要綱やガイドラインの作成などの支援が必要とした。また、コロナ禍における空き家の有効活用の取り組み事例を収集し、空き家・空き地バンクへ掲載することで、空き家の有効活用の横展開を図ることも課題とした。