国土交通省は27日、「要除却認定基準に関する検討会」(座長:深尾精一首都大学東京名誉教授)の3回目となる会合を開き、建築士等が老朽化したマンションの「要除却認定」を申請するための調査・診断方法等を具体的に解説する「要除却認定実務マニュアル」の骨子案を示した。
会合では、6月24日~7月26日まで行なわれた要除却認定基準に関するパブリックコメントへの意見と対応方針が報告された。調査資格者や各類型の基準について27件の意見が寄せられた。調査資格者については住宅の劣化状況等を調査する既存住宅状況調査技術者を活用してはという意見が出されたが、現在の建物状況調査はほとんどが戸建住宅が対象であるため、マンション建替え等に関する専門的知識を有する技術者育成のため、要除却認定等に関する講習の実施を検討していくとした。マンションの将来像の検討と要除却認定基準への妥当性調査の一体的な実施を促進することを念頭に、当面は建築士に限定して運用するとし、「同等以上の知識・経験を有すると認められる者」の活用については、運用状況を踏まえ慎重に対応していく。
「要除却認定実務マニュアル」は、マンション建替え円滑化法改正の背景やその概要、「火災安全性不足」「外壁等剝落危険性」「配管設備腐食」「バリアフリー不適合」という4つの要除却認定基準の概要と調査・診断方法、管理組合等の要除却認定申請に係る手続き、特定行政庁による審査手順などについて解説したもの。パブリックコメントで「調査すべき箇所や劣化状況の数え方のイメージがわかるようにしてほしい」といった意見が寄せられたことから、マニュアルは調査項目のチェック表に加え、調査・診断箇所をわかりやすく図表で記載する。
同検討会は今回で議論を終え、同省は12月の施行を目指し、改正省令・告示の具体的な条文作成作業に入る。会合の最後に挨拶した住宅局参事官の矢吹周平氏は「今回の取り組みは、単に老朽化したマンションを除却するというだけでなく、住宅ストックを上手に使っていくという新しいチャレンジ。当省では、老朽化したマンションの除却に加え、マンションの適切な管理についても議論を進めている。良いものを作ってきちんと管理することで、良い住環境の提供を目指していく」などと語った。