記者の目 / IT・情報サービス

2018/6/6

ここまできたIoT住宅

スマホ1つで家中操作。AIで生活パターンを住まいが記憶

 IoT技術の発展・導入で、われわれの生活から働き方まで大きく変化を遂げている。住宅においても然りで、これまでは当然不可能であったことが、続々と実現している。  現在、IoT設備を搭載した住宅が続々とリリースされており、かつては想像上に過ぎなかった生活が現実のものとなっている。実際に販売されているIoT住宅を取材したので、紹介しよう。

◆スマホやタブレットで設備や家電を操作

 (株)TATERU(旧(株)インベスターズクラウド、東京都渋谷区、代表取締役CEO:古木大咲氏)が販売する「アプリではじめるIoTアパート経営“TATERU Apartment”」は、さまざまなIoTデバイスを導入した単身者向けアパートだ。盛り込まれている機能を紹介していこう。

 ドアの鍵はオートロック機能を備えたスマートロック。

「TATERU Apartment」のスマートキー。ディンプルキー、テンキー、ICカード、スマートフォンアプリのいずれでも開錠できる

 後付けタイプのものなので、ディンプルキー、テンキー、ICカード、スマートフォンアプリのいずれの方法でも開錠が可能。例えばカードキーやスマートフォンをどこかに置き忘れたとしても、テンキーを使用して開錠できるので非常に便利だ。そしてスマートロックなので、例えば居住者が不在の時でも、スマホのアプリから指示を出してドアを開錠することもできる。

 窓にはタグ・セキュリティが備え付けられている。これは、揺れや異常を感知すると、警告音を発する機器だ。窓が開閉されたりすると、音を発するのと併せて居住者のスマートフォンアプリに通知される。

 照明もスマート照明を導入。タブレットやスマホのアプリでオン・オフをすることもできるし、調光・調色も可能だ。

スマホのアプリ画面。これで設備や家電を操作できる

 そして、家電のリモコン信号を登録できるネイチャーセンサーリモコンも設備している。この機器に家電製品を登録することで、部屋に備え付けられているタブレット(セントラルコントローラー)や、スマートフォンのアプリを使用して、エアコンや照明、電動カーテンなど操作ができるようになるのだ。

 同社が供給するアパートにはこれらの機器を標準で装備し、「TATERU Apartment」として供給してきた。2018年4月以降は、スマートスピーカー「Amazon Echo」も標準設備に追加。Amazon Echoの知能である「Amazon Alexa」に対応させることで、音声で室内設備や家電をコントロールできる環境を提供する。例えば、「アレクサ、いってきます」と話しかけると、照明、テレビ、エアコンを一括でオフにするといったことが可能だ。

スマートスピーカー「Amazon Echo」に話しかけての操作もできる

◆居住者の生活パターンをAIがディープラーニング

 賃貸アパートでも、ここまで先進的な生活が実現している訳だが、分譲マンションではさらに一歩進んだ取り組みが行なわれている。

 (株)インヴァランス(東京都渋谷区、代表取締役:小暮 学氏)では、自社開発したスマホアプリ「alyssa.(アリッサ)」により、玄関の鍵や照明、床暖房、エアコン、給湯器などを操作できるマンションを供給してきたが、このほどAI(人工知能)である「CASPAR」を搭載したマンションの分譲を開始した。

 温度や湿度、音声、明るさ、人間のビジュアルや動作までを感知できるスーパーセンサーを居室に配置。そこから得られた情報を「CASPAR」がディープラーニングすることで、居住者の習慣や嗜好を把握し、住居内の制御するのだという。

同社が導入したAI「CASPAR」の概念図

 例えば、居住者が、日が落ちて外が暗くなったらカーテンを閉めて、朝日が上って明るくなるとカーテンを開ける、といった行動パターンがあるとする。するとそのパターンを学習し、自動で電動カーテンの開け閉めをしてくれるようになるのだ。

電動カーテンは、スマホ、センサーへの声かけでの開閉も可能。もちろん学習後は、暗くなると自動でカーテンを閉めてくれる

 照明のオン・オフについても同様。タイマー機能ではなく、明るさなどを検知して作業を行なうというのだから驚く。

 そうした学習能力の発展型として、居住者が服薬をする必要がある場合に、一定の時間にキッチンに行き、水を用意して薬を取り出して服用する、というパターンを学習。薬の飲み忘れをアラートするということも可能なのだという。

 「約2ヵ月生活すると、生活者の8割程度のパターンを学習できます。その結果、メイドに近い動きができるようになります」(デジタルコミュニケーション自供部デジタルマーケティング課チーフ・小山冴依氏)のだという。

 現在、カーテンの開閉、照明・エアコンのオンオフについて自動制御が可能。ゆくゆくは湯船の自動のお湯張りも自動化させたい考えだ(現在は湯張りはアプリ「アリッサ」での操作が可能)。

スマートフォンアプリ「アリッサ」の画面。現在はアプリでの操作だが、ゆくゆくはお湯張りの自動化も進める考えだ

◆◆◆

 今回の取材を通じて、「正直、ここまできたか!」と驚きを禁じ得なかった。スマートフォンという“魔法の機械”で家の中を操作できる、その世界が現実のものになったことにびっくりした。そして家の中で時間を過ごしているだけで、その行動パターンを学習して“家”がそれに対応…というのは、昭和生まれの私には、もはやマンガや映画の中の世界の話だ。

 今後、どのようなことが実現していくのだろうか?ワクワクすると共に、ちょっとだけ恐怖心もわいた次第。(NO)

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