不動産ニュース / ハウジング

2018/3/13

PV搭載住戸の64%でエネルギーゼロ

 積水化学工業(株) 住宅カンパニーは13日、太陽光発電システム(PV)とHEMS搭載住宅のエネルギーゼロ達成度および蓄電池の運転実績調査の結果を発表した。

 エネルギーゼロ達成度調査の対象は、2016年1~12月の間に入居済みのセキスイハイム住宅2,951邸。調査期間は17年1~12月。各住宅に設置しているコミュニケーション型HEMS「スマートハイム・ナビ」のデータを活用し、消費電力量・発電電力量などを分析した(16年の新築住宅PV搭載率は78%、蓄電池設置率は24%)。

 なお、15年度に確定した国のZEH基準では、運用時でなく設計時での評価、エネルギー消費量では「家電・調理」が対象外となっているが、同社調査では、1年間の運用実績で評価し、「家電・調理」を消費電力量に含めたより厳しい基準となる「家電込みエネルギーゼロ」区分を設けている。

 調査結果では、「家電込みエネルギーゼロ邸」は42%(前年度40%)、「ZEH相当邸」は22%(同25%)となり、PV搭載邸の計64%(同65%)がエネルギーゼロを達成していることが分かった。

 「家電込みエネルギーゼロ邸」の電力量収支はマイナス3,501kWh/年(同マイナス3,341kWh/年)、年間光熱費収支では、17万3,000円の黒字(同17万6,000円の黒字)となった。天候等の影響により17年は前年に比べ消費電力量、発電量がともに増加しており、電力収支は前年比で大差ない状況となっている。

 蓄電池の運転実績調査については、対象は定置型大容量リチウムイオン蓄電池「e-Pocket(イー・ポケット)」の搭載邸829邸。調査期間は17年1~12月。蓄電池の放電量の実績把握と、電力の自給自足を想定した運転(太陽光発電の余剰を充電するグリーンモード)効果を検証した。なお、同蓄電池はグリーンモード(自立優先モード)、経済モード(経済優先モード)、非常運転モード(停電時モード)の3つのモードで運転できる。

 調査結果では、グリーンモード運転の場合は、蓄電池がない場合の自給率22%を約35~60%にまで引き上げる効果を確認。同社では現在4~6kWh、6~8kWh、12kWhの3タイプの蓄電池を設置しているが、大容量の蓄電池ほど自給率が高くなっていることも分かった。

 これら調査結果を受け、同社では、エネルギーゼロ達成度は安定基調に入ったと分析。今後、売電単価の下落、買電単価の高騰を要因に光熱費収支が年々厳しくなることが想定されるため、ユーザーメリットの維持を課題に挙げている。今後は、PV電源の有効活用策として、蓄電池の搭載等をさらに推進し、ユーザーのライフスタイルに合わせた最適活用提案ができるようレベルアップを図っていく考え。

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ZEH

年間に消費する正味(ネット)のエネルギー量がおおむねゼロ以下となる住宅。ZEHは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称で、和製英語である。

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