不動産ニュース / 調査・統計データ

2020/6/10

単身者の住まいの満足度、ソフト面がカギに

 LIFULL HOME'S総研は9日、研究報告書「住宅幸福論Episode.3 lonely happy liberties ひとり暮らしの時代」を発表した。

 2018年より年に一度のペースで「住まいの幸福度」について調査しており、今回が3回目。同日開催した発表会で、同総研所長・島原万丈氏は「これまでの調査で、一人暮らしの幸福度が低いことが浮き彫りになった。単身世帯は全世帯の4割近くを占めるまでに増加しており、単身世帯の幸福な住まい方を考えることは重要である」と話した。

 今回の研究では、「未婚単⾝世帯の住⽣活実態調査」を実施。「ウェルビーイング(主観的幸福)」という観点で、住まいに対する幸福度を「満足度」「感情(幸福感)」「エウダイモニア(心理的態度・経験)」という指標で分析した。調査対象は一都三県の単身世帯(一人暮らし)の男女3,000人(調査期間20年1⽉29⽇〜2⽉3⽇)、二人以上世帯(同居人あり)の男女1,000人(同1⽉30~31⽇)。

 単身世帯は、二人以上世帯と比較して幸福度が低い傾向にあり、「満足度が低い」「家で不安や憂鬱を感じることが多い」「家で将来の楽観や⾃尊⼼を感じられない」といったネガティブな感情を覚えるという回答の比率が高い。特に男性にその傾向が強く、ミドル層(40〜59歳)で最も強く出た。男性は加齢で住まいの幸福度が下がるが、⼥性はその変化が⼩さかった。同社は「生涯独身など⾃由主義に対する肯定感が低いことが要因ではないか」(島原氏)と分析している。

 単身世帯の住まいの満足度を高めるには、ハード面では「ゆとりある広さ」「高品質な水回り設備」などが、ソフト面では「オーナーや管理スタッフの親切さ、管理の良さ」などをポイントに挙げた。ただ、建物スペックの高さで得られる満足度は、ある一定基準を超えると頭打ちになる傾向がみられた。一方、「地域との交流」「良好なコミュニティ」といったソフト面は、機会が多いほど満足度は右肩上がりになった。こうしたソフト面の取り組みは、「満足度」だけでなく「感情」「エウダイモニア」においてもポジティブな効果があり、オーナーや管理会社の働きかけがポイントになるとした。

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