国土交通省は30日、「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」(座長:齊藤広子横浜市立大学国際教養学部教授)の初会合を開いた。
6月に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律」が成立・公布された。これを受け、マンション管理適正化法に新たに規定される国の基本方針、地方公共団体による助言・指導等、管理計画認定制度等の新制度の施行に関して、基本方針や認定等の基準等について議論していく。
事務局は、国による基本方針として、管理組合によるマンションの管理の適正化に関する基本的な指針(マンション管理適正化指針)を策定すると言及。地方公共団体によるマンション管理適正化の推進については、(1)マンション管理適正化推進計画の作成に関する基本的な事項、(2)管理計画認定制度における認定基準、申請書類等、(3)管理適正化のための助言・指導・勧告を行なう判断基準の目安、を検討項目に挙げた。
基本方針・管理適正化指針の概要(案)では、管理組合・国・地方公共団体等の役割等の基本的な事項、長期修繕計画の策定および見直し等、良好な居住環境の維持および向上といった、管理組合によるマンション管理適正化指針に関する事項、マンション管理適正化推進計画の策定に関する基本的な事項等を示した。
委員からは、「管理組合・国等の役割に加え、区分所有者の役割も示し、それぞれの責務を明確にすべき」「良好な居住環境の維持・向上の項目では、コロナ等の感染症対策や防災・減災対策もしっかりと盛り込む必要がある」「計画の策定期間は、10年ごとに作成される住生活基本計画に合わせるのが適当ではないか」等の意見が挙がった。
また、助言・指導・勧告を行なう基準の目安として、「管理組合の運営」「管理規約」「管理組合の経理」「長期修繕計画の策定および見直し等」の4項目を提示。管理者等が定められていない、集会(総会)が開催されていない、管理規約が存在しない、管理費と修繕積立金の区分経理がされていない、修繕積立金が積み立てられていない、等の判断基準の目安を示した。
管理計画認定の基準では、緊急時等における専有部の立ち入り、管理組合の財務・管理に関する情報の提供等を管理規約に定めている、管理費や修繕積立金の滞納に適切に対処している、25年以上かつ大規模修繕工事が2回以上含まれる計画期間となる長期修繕計画が作成されている、等を挙げた。
これに対し、委員から「助言・指導・勧告を行なう判断基準に、管理組合が存在しないマンションへの対応も盛り込んでは」「管理計画認定を受けたマンションにはインセンティブを付与したほうがいいのではないか」といった意見が寄せられた。
今回を含め、2021年3月までに4回の会合を開催。22年4月の法施行に向け、基本方針、管理適正化指針等の方向性のとりまとめを行なう。